合同授業


―最近のボクは何かおかしい―

現在、クラス合同の数学の授業中。

ボクの席は窓際後列、なかなかいい席だ。
そして、ど真ん中最前列という位置にいながら大きなあくびをしている奴がいる。
…本田くんだ。
もう少し誤魔化そうとか思わないんだろうか。
今に先生に当てられるぞ…。

「この問いを…随分余裕そうだな。よし、答えろ本田。」

ほらね。

「えーっ!?」

本田くんがオーバーリアクションをとると、どっと笑いが起こる。
…もう。

しぶしぶ、といった感じで立ち上がり黒板の前へ移動する本田くん。
何やら難しい顔をしている。
…まさか、わからないのか…。
ボクからみるとその問題は基本中の基本なんだけどなぁ。
なんでわかんないんだろう。

黒板の前で数式とにらめっこすること1分半。
さすがに先生も呆れ顔だ。

「しょうがない。誰かに助っ人してもらいなさい」

やっと先生から助け船が出される。

「やりぃっ!!」

とたんにぱあっと表情を輝かせる本田くん。
単純だなぁ。
グルリと教室を見回す本田くん。
そして、一声。

「そんじゃ、助けてくれよ、御伽!!」

………ボク?

「はぁっ!?」

思わず、大きな声を上げてしまった。
まさか、指名されるとは思ってなかった。
取り敢えず、問いに答える。

「x=3ルート6です。」

「正解。
少しは御伽を見習えよ本田。」

再びクラスに笑いが起こる。

先生は次の問いを用意しはじめる。
笑いが収まった静かな教室に響くチョークの音。
みんながペンをはしらせる音。
窓の外からかすかに聞こえる蝉の声。

そして、ボクだけに聞こえる自分の心音。
顔に熱が集まる。
どうしよう、嬉しい。

本田くんがボクを指名したのは答えれそうなのがボクか杏子ちゃんしかいなかったから。
頭ではわかっている、けれど。

名前を呼ばれたのが嬉しい。

頼りにしてくれたのが嬉しい。

遊戯くんでも、城之内くんでもなく、自分を呼んでくれたのがたまらなく嬉しい。

あぁ、やっぱり、ボク、おかしいみたいだ。







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片想い多すぎないか私の文…



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