「例えば、例えばの話よ」

穏やかな午後、いつものティータイム。
滅多に私は喋らないのだけれど今日はどうしても聞きたいことがあったの。
私の前に座る貴方が珍しいこともあるものだ、と言う風に目を丸くし、怪訝そうに首を傾げる。次の言葉を待っていてくれているみたい。
こんなこと、聞くのはおかしい。そうは思っているけれども、聞かなければ、確かめないと。
意を決して、口を開く

「例えば貴方が本当はとても悪いことを裏でしていて、」

「アキ…?」

戸惑いを隠しきれない様な声。次いで、何かを探るような視線。何かに気付いたのか、何かを知ってしまったのか、そんなことを探るような。
この反応から推測するに…あれは、

「それが原因で、貴方が、………いえ、やっぱりなんでもないわ」

死んでしまったら、そんな言葉口にしただけで貴方が目の前から消えてなくなりそうで、

(言葉にせずともそんなに遠い出来事ではないけれど)

(あぁ、いつかまた同じ結末を見なければならないなんて)

「どうしたんだい、話してごらん?」

綺麗な緑の両目でまっすぐに見据えられる。
話せる訳なんて、ない。

(話したって結末は変わらない。)
(なら、話さない方が良い)
その選択が間違っているかどうかなんてわからない
考えることをやめて、全ての思考を貴方に預けてしまった私には最善策なんてわかるはずもないんだから

「いいえ、気にしないで」

「………」

貴方は何か言いたげに口を動かしたけれど何も言えない風だった。
そう、これは、きっと悪い夢

「只の、例え話だから」

見えてしまったものに変えられる術もない私と何も知らない貴方






よくわからないディヴァアキ。未来が見えちゃった系アキちゃん







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