--2 端的に言って、僕がチェンバレンをからかう作戦は失敗した。 おどおどするチェンバレンがあんまりにも可哀相になったからだ。 パーティー会場でわざとバタービールをひっかけるなんて人でなしみたいな行動は今後やめよう。 だいたい僕はマルフォイと同じレベルに身を落としてどうするつもりだったんだ。 * 何気なく見ていた忍びの地図にその名を見たのは偶然だった。 天文台の塔のてっぺんにチェンバレンが一人佇んでいる。 透明マントで身を隠し、僕は寝室から駆け出した。 僕を見て嫌そうにしたチェンバレンと、僕は並んで星を眺めている。 ハロウィーンの今日が両親の命日だと告げると、チェンバレンもぽつぽつ彼女の境遇を語りだした。 彼女の本当の父親はヴォルデモートに一矢報いようと亡くなったのだという。 純血家系の出身で自身もデスイーターだったようだが、ヴォルデモートの考えに賛同しきれなくなったようだ。 なにかをするため黙って死んだようだったが、なにをしたのか聞くことははばかられた。 エミリーは今にも泣き出しそうだった。 その父親を誇りに思っているチェンバレンにとっては、彼女を取り巻く環境は過酷だろう。 スリザリン生のほとんどがヴォルデモート復活を喜んでいる。 「泣かないで」 はらはらと美しく流れる涙を見て、僕はそっと彼女にキスをした。 まあ、突き飛ばされ蹴りを入れられ、辛うじて見たのは彼女の後姿だったけど。 その日を境に僕はエミリーによく話しかけるようになった。 ← | top | → |