疑問符だらけ
医務室にルーピンはいなかった。
適当な理由をつけて医務室に入った莉沙は備え付けのベッドに目を走らせたが一つのベッドも使われておらず、医務室内にルーピンの気配は感じられない。

早々に医務室を出て、ハッフルパフ談話室のソファに腰をかけながら考えを巡らせる。
そうこうしているうちにハッフルパフ生が集まってきたので、彼らの課題の面倒を見ながら暴れ柳のことを考えた。


(確か、五年前にあの木の植樹を手伝わされたのよね)


寮監のスプラウトが珍しい植物だと莉沙に知らせてくれ、三年に上がる前の夏休みにホグワーツを訪れた記憶がある。


(五年前?)


あの夏休みはルーピンたち五年生がホグワーツに入学する直前だ。


(じゃあ、あの木はルーピンの為に植えられた?)


そこまで考えて莉沙の考えは行き詰まった。
学校公認で、わざわざ暴れ柳の下から校外に出る理由なんて検討もつかない。


「リーザ、昨日天文学で課題が出たの。ちょっと教えて欲しいことがー」
「あら、木星の観察でもしたの?」


一年生の金髪の女の子に声をかけられて莉沙は愛想良く応じた。


「ううん、昨日は満月だったから月の観察よ。月の満ち欠けのついて30センチ」
「それならいい本があるわ」


談話室の壁際には莉沙の教科書や参考書が整列している。
莉沙が自分でこしらえた本棚で、わざわざ寝室まで行かずとも参考書を使って教えることができるので重宝している。

その中から一年生でもわかりやすい参考書を取り出して後輩に手渡しした。
昨日が満月とは気づかなかった。
月が昇る頃にはこの地下の談話室に戻っていたから。


(満月?)


ルーピンの一件と、なにか関係があるだろうか。
いや、ないだろう。
満月草を摘み忘れたことを思い出して莉沙は人知れず唸った。




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