番外編
BRIGHT STREAM(騎士団編フレッド周辺)
01
「どうした、にやにやして」


フレッドはやたらにこにこしているユーリ・アシハラにそう尋ねた。
笑顔でないときのほうが珍しい女の子だが、ここまで華やぐ笑顔で見つめられているとかなり居心地が悪い。


「え?うーん、二人が笑顔で楽しそうに喋ってて――そういう笑顔を見るのがわたしにとって幸せだってことなんだと思って」


フレッドはユーリの言葉に納得した。
その気持ちはわかる気がする。


(俺も、ユーリが笑ってるの見ると幸せだ)


しかしそのとき、フレッドは自分の思考の行き着いた先に気がついて大いに焦った。


(俺って――)


なにかを喋っているジョージを見つめているユーリを見て思う。
彼女は朗らかで、いじり甲斐があって、なにかと使える『子分』のような子だ。
本気の喧嘩をして怒鳴りあったこともあるが、いまだにその友情は続いている。
ユーリに対する感情を、身内のジニーに対して感じる感情と似たり寄ったりのものだと思い続けていたが――どうやらそれは違ったらしい。


(ジニーが笑ってるの見ても、ここまでの気持ちにはならん…。俺、こいつのこと好きだ…)


フレッドはしばらく呆然としていたが――そう気づいてしまうと、顔がどんどん火照ってきた。


「フレッド?」
「な、なんだよ…」


ユーリの顔を見ていられなくなって視線をそらしたとき、ジョージがなにかを察してフレッドをフォローした。
フレッドの顔の紅潮を、食べてもいない発熱ヌガーのせいだろうとでっちあげてくれて――ユーリはそれに納得している。


(ジョージ、お前と双子でよかった…)


そう思いながら男子寮に引っ込んだフレッドだったが、それはすぐに撤回することになった。
寝室に戻ってきたジョージは夜半までフレッドのことを盛大にからかった。




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