番外編 炎のゴブレット-ワールドカップ*04 >>ハリー視点 このストーツヘッド・ヒルで僕らはポートキーを探すらしい。 明け方のほの暗い景色の中、目を凝らしていると遠くから男の声が聞こえた。 「おーい、セド!こっちだ、見つけたぞ!」 ロンのパパが僕らを伴って男に合流する。 黴びたぼろいブーツを持っている、恰幅のよい顎ひげの男には見覚えがないが、どうやらウィーズリー家の近所に住む男性らしい。 ロンのパパとなにやらにこやかに語り合っている。 そのミスター・ディゴリーは丘の向こうからやってくる人影を今か今かと待っている。 近場まできてその人物たちの輪郭がはっきりして、驚いた。 グリフィンドールの同級生、いつも行動を共にしているユーリ・アシハラが、ハッフルパフのセドリック・ディゴリーと連れ立ってやってきたところだった。 いつも通りのにこにこ顔でディゴリーを見上げ、楽しそうにしている。 ユーリは日本人で、休暇は日本で過ごすというのを何度も聞いた。 ユーリのお母さんがイギリス魔法界と繋がりのある人物で、ときたま彼女のお母さんの親戚のお家や友人のお家に招かれているというのも。 いつのことだったか、ユーリがディゴリーと親しい仲だと聞いて驚いたのを思い出す。 僕にユーリを『ディゴリー贔屓』だと、面白くなさそうに紹介したのがフレッドとジョージだった。 ユーリも僕らに気づいて、にこやかに手を振っている。 (うわ、これは…) そのユーリがディゴリーと仲良く手をつないでいるのに気がついて、僕は恐る恐る背後に振り返った。 案の定、双子が面白くなさそうに眉根を寄せていて、一悶着あるのではと身構える。 双子にとって、ユーリはお気に入りの後輩だろうというのは僕にもわかる。 子分かなにかのように扱っていて、学校の探検だとか言って僕らの中からユーリだけを連れ出したり、新作のいたずら魔法を実験とか言ってユーリに繰り出している。 彼女はだいたいにこにこしているおおらかな子なので、嫌がらせまがいの双子の行動を苦笑いで諌めることはあっても怒ったり泣いたりはしない。 (フレッドとジョージがディゴリーのこと嫌いなの、なんでかわかったかも) まるで兄妹のようににこにこ笑いながら手をつないでいる二人は、傍から見ても仲良しの友人同士だ。 特に、日本人のユーリはよっぽどのことがない限り激しいスキンシップを受け入れないので、ディゴリーには随分気を許しているのだろう。 きっとそれが嫌で、気に入らないんだ。 (ほんと、ユーリって罪作りな子だなあ…) そう考えて、ユーリを見る。 本当に楽しそうだ。 (僕もディゴリーのこと嫌いかも…) そんな思考は話しかけてきたエイモス・ディゴリーによって打ち切られ、同時に再燃した。 *** 折角外国の話なのに悠莉さんは今まで全然スキンシップをしてこなかったので. まわりが気を遣った結果で,セドリックはお兄ちゃんきどりで遠慮なく手をつないだりほっぺにちゅーしたりだととてもおいしいです.笑 ← | top | しおりを挟む | → |