もしもシリーズ
夢主がハッフルパフに組分けされていたら
『頭は悪くない、真の友を得たいという気持ちも、勇気も十二分にある。難しい子だが…。それでも一番相応しいのは…』
「ハッフルパフ!」


組分け帽子の轟く声に黄色のローブの一団がわっと湧いた。
悠莉はそのテーブルの先頭に立って手招きする上級生を目指す。


「ハッフルパフへようこそ!」
「その子はこっちにやってくれ!俺の知り合いなんだ!」


監督生に向かって声を張り上げたのはセドリックだった。
にこにこ笑っている。
監督生は悠莉の背を押して、セドリックと上級生の間に悠莉を押し込んだ。


「やったね、ユーリのお母さんと同じ寮だよ!」
「よかった!母にどこの寮にいたか聞きそびれていたの」


悠莉も笑い返すと、セドリックは満足そうに悠莉の頭を撫でた。
悠莉は周囲の女の子の視線が痛いのに気がつかないわけにはいかなかった。
ハンサムなセドリックはとても人気があるのだろう。


「寮についたらすぐふくろうを送るといい。お母さんはきっと待ってるはずだ」
「うん、そうする!」


セドリックが取ってくれたカボチャジュースを飲みながら、悠莉は緩む頬が抑えられなかった。


それからは楽しい話題に終始した。
クィディッチチームのメンバーは今年こそ優勝杯を獲得すると豪語している。


「寮についたらびっくりすることがあると思うな」


セドリックがいたずらに笑ったわけを、悠莉は談話室に着いて知ることになる。
温かみのある談話室で新入生を迎えた一際大きな肖像画。
ハッフルパフの制服を着た彼女は、恭しくスカートをつまみ膝を折って挨拶した。


『新入生たち、初めまして。リーザ・ツダがみなさんを歓迎するわ』


そう言っていたずらに笑う優しい少女に、新入生たちの目が釘付けになる。


(ママ!)


大好きな母親が、若い頃の姿で動いている。
声をあげそうになって思わず口を両手で抑えると、そんな悠莉を見てセドリックは楽しそうに微笑んだ。


「『リーザ』に恋してる男の子は多いんだ。ユーリのお母さんだっていうのは秘密にしておくよ」


こっそりそう耳打ちされて、黙ったまま頷く。
そのとき。


『そこの!一番小さい黒髪の女の子!そうあなた!』


絵の母親が悠莉を指差した。
怖々近付くと学生時代の母親がにっこりする。


『とっても可愛い!あなたみたいな子がハッフルパフに来てくれて嬉しいわ!』


上機嫌に手を振られて、悠莉は少し笑って手を振り返した。
そう言えば、母親は悠莉の父親のことが大好きだったと祖母に聞いたことがある。
その父親そっくりの悠莉を、自分の娘だと知らない学生時代の母親が好いてくれたことに悠莉はある種の感動すら覚えた。


(ママって、パパのこと本当に好きだったんだなあ…)


ただ、感慨に耽る暇はなかった。
…セドリックの言うとおり、確かに、周りの男の子たちの視線が痛かった。


***


悠莉さんがハッフルパフ生だと,たくさんの生徒の羨望の的になるようです・ω・*




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