小説 | ナノ


「門倉さん、傘持っていかないんですか?」


「んー?…今日はいらねえな」


「だって今日夜雨降るって」


「俺が傘持って外に出ると大抵雨は降らないんだよ」


「……なんですか、それ」


「逆に、傘持たないで出た日に限って降る」


「ああ、門倉さんはそういう星の下に生まれたんでしたね」


「そういうこと。だから今日は傘必要なし」


「それって日頃の行いが悪いとかじゃないですか?」


「…あーそれこないだ店のオネエちゃんにも言われて…あ」


「店のオネエちゃん」


「言われて…たような気がしたけど夢かな?」


「フーン」


「ねえ冷たいその顔やめて?冗談だから!」


「何がですか?別に気にしてませんけど」


「気にしてない人がそんな顔する?ねえ?」


「雨に降られてビッショビショになってそのまま水たまりに突っ込めとは思ってますけどね」


「やっぱ絶対怒ってんじゃん!!」



(日頃の行い/門倉)