小説 | ナノ


「土方さん、新しいお着物にしてみました。どうですか?」


「ああ、よく似合っている。…その色、」


「ええ、浅葱色です。」


「浅葱色…か。…見覚えのある色、だ」


「土方さんには懐かしいお色でしょう?」


「ああ。…過去にするにはまだ少々早い気もするが」


「土方さんの浅葱色のだんだら羽織姿…きっと素敵だったでしょうね」


「フフ…」


「お写真が残っていたらいいのに」


「必要ないだろう」


「そんなことないですよ。お写真があれば懐かしさに浸れるでしょうに」


「お前が着ていればいい」


「え」


「お前がその着物を着て隣にいてくれればいつでも浅葱色を思い出せる」


「土方さん………私なんかでよければ」


「ただし、私の前でだけだ」


「当たり前じゃないですか!」


「(ガムシンには黙っておくか…)」


(浅葱色/土方)