なんかよく状況がわからないまま白竜くん…?と暮らすことになった。


「とりあえずあがろっか。靴揃えてね」

「あぁ」


いつまでも玄関先にいるのはあれなので家にあがる。
時計の短針は9を指していた。
いつの間にかこんなに時間経っていたんだ…。


「そういえば、夕飯とか食べた?」

「ああ、夕飯はもう済ませてきた」

「そっか。あ、これからのこととか聞きたいこととかあるからちょっと話さない?」

「別に俺は構わないが…」

「あ、ソファーに座ってていいよ。飲み物持ってくるから」

「あぁ…。わかった」



何か飲み物あったっけ…?
確か戸棚にココアがあったはず。最近、肌寒くなってきたし、ココアなら大抵の人は飲めるし…これでいいかな。
熱々のマグカップ二つを手に、白竜くんのいるソファーへ向かう。


「まずは自己紹介からだよね。私は苗字名前。高二。私はこの部屋で一人暮らししているの。両親は二人共海外で仕事あるからそっちで暮らしてるの」

「俺の名前は白竜。…中一だ」

「えっ…、白竜くん中一なの?私、てっきり中三とか高校生だと思ってた!」

「とんだ間違いだな。人を見かけで判断してはならない」

「いや、別に悪気はないんだけど。だって、白竜くん大人びてるもん」

「ふっ…、まあ俺は大人だからな」

「( そういうところはガキだよなぁ…)」


今時の中学生って凄いね。何なの。この間までやってたホーリーロードの試合とかテレビで観たりしてたけど、中学生なのに色気ある子とか、声が大人っぽかったり…。
地元の雷門中のあの、剣城くんだっけ?
あの子もクールな立ち振舞いだし、身長高いし。
自分の高校の男子よりも大人だと思える。
白竜くんもクールだし、身長高いよなぁ…。


何だろう…。
さっきからマグカップ見てそわそわしてるんだけど、どうしたんだろう。
もしかして…


「ココア、もうなくなった?」

「!!…あ、あぁ」

「もしかしてもう一杯飲みたかったりする?」


名前とお互いの自己紹介も兼ねて話ながら俺はココアを飲んでいた。
ゴッドエデンではこんなココアのようなものはあるわけもなく、俺は毎日スポーツドリンクとか栄養ドリンクばかり飲ませられていた。
いつぶりだろう、こんな甘い物を飲むのは。
そんなことを考えていたらあっという間になくなってしまった。もう一杯飲みたい…なんた思っていたら名前がもう一杯飲むかだなんて聞いてきた。
なんてグッドタイミング!
しかし、ココアのような甘い物が好きだなんてちょっとガキすぎる気もする。
ここでじゃあ、もう一杯…なんて。
ガキだと見下されたくはない。


「べ、別にいるわけないだろ!甘い物好きなんてガキだしな。俺はガキじゃないんだ!」


そう、じゃコップ洗うから台所に持っていくね、なんて言うと途端にもじもじしだす白竜くん。
おそらく彼はあれだ。所謂ツンデレってやつ。本当はココアを飲みたくてしょうがないんだろうなぁ…。

マグカップを台所へ持っていくと心なしか残念そうにしている白竜くん。
なんだか可愛いなぁ…!

袋に残っているココアはあと一杯分ほどだろう…。しゅんとした彼があまりにも可愛い。

(せっかくだから淹れてあげようかな。)


コトッとホカホカのココアでいっぱいのマグカップを白竜くんの目の前の置くと、目をぱちくりさせている。


「いらないって言っただろう!」

「いや、もうココア無くなりそうだったの。それに白竜くん飲みたそうにしてたからちょうどいいやと思って淹れてきたの」

「の、飲みたそうになんてしていない!」

「あらそう?なら私がそれもらおうかな」

「いや、でもお前がせっかく淹れてくれたんだから飲んでやらないこともない」

「じゃあ、飲んでもらおうかな!」


すっかりココア気に入ってるなぁ。
ふふふ、ココア好きだなんて可愛い。
また買わなくちゃいけないなぁ。
あ、白竜くんの身の回りのものも揃えないとね。
明日は土曜日だし、買い物に行こうかな。


「また明日、ココア買ってあげるからそんなちびちび飲まなくていいよ!」

「!!わかった」

「それと、身の回りのものも揃えよっか!」




♯甘い物がお好きなようで