ああ…やられた。
私はどこに飛ばされるんだろう。
相手の聖騎士は確かワープの魔力だったはずだ。もともとヘンドリクセン聖騎士長への不満もあったんだろう、ドレファス聖騎士長派を引き抜いていたり新世代達を作り出すなんてえげつないこともしていた。だからもしかしたら勘付いていたのかもしれない。…寧ろ勘付かない方がおかしいんだ。国民達も、聖騎士という肩書きに騙されてる。聖騎士がどれだけ国民を殺したのかなんて知りもしないんだろう。…いや、知っている。でも考えないようにしてる、のが正しいのかも。ブリタニアは最早、王族なんて名だけで、……。
……まぁそんなことどうでもいい。最後にヘンドリクセン聖騎士長を庇えるなんて名誉なことじゃないか。私を地獄から救ってくださったこのお方をお護りできた。
こんな大きなワープゲートを作ったから相手の聖騎士はもう魔力切れのはずだ。ヘンドリクセン聖騎士長の敵ではない。安心だ。でも一つ不安を述べるなら自分のこと。「この世界から消してやる」というセリフが頭から離れない。もしかしたら魔人族の世界や妖精族の世界に飛ばされるのかも。
それが罰なのかもしれない。聖騎士として国民を護るより、ヘンドリクセン聖騎士長へ全てを捧げ、国のことなど見て見ぬ振りをした私への。

ブリタニアの空を、この目に焼き付けるように見つめながら、私の視界はブラックアウトした。





ゴッと冷たい地面に近距離から落ちる。
謎のゲートを越えた負荷で頭がぼーっとした。
ぺたぺたとだれかが近づく音を最後に、私の意識は途切れた。


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