瞬きをしたら平野に立っていた。
よくある話だよねーうんうん。
…んなわけないだろう。
「はい…?どこよここ」
きょろきょろと辺りを見回すも、平野…ではなくよく見てみれば荒れた村の様だった。どういうこと?
ポケモンの鳴き声すら聞こえてこない此処に不安になり腰に手を伸ばした。
「ギャロップ、出てきて」
腰のモンスターボールから一体、ギャロップを出すと凛々しく炎を纏った馬が現れる。
顎を撫でてあげながら辺りを警戒するギャロップに跨る。
「小さい村…ちょっと散策しよっか」
暫く歩くとどうやら一周したらしく、元の場所に戻ってきた。結局人も居らず半壊した家がほとんどの、荒れた村だということしか分からなかったし、ポケモンも居ない。とても異様なことだこれは。
村の外は平野が広がっていて、大きな建物らしき物がギリギリ目視できた。
陽が暮れて来た頃、崩れてない家もあるので家主が居ないことを祈りながらもそこを拠点にする事を決める。
「みんな、出て来て」
ボールを一気に空中に投げると、もともといたギャロップを除き私の手持ちのドンファン、ペリッパー、ルカリオ、ヤミラミ、キリキザンが出てきた。
ヤミラミはそのままカサカサと上り、私の肩へ乗る。ここがこの子の特等席とも言えるんだ。
「みんな、よく聞いて。突然の事でよく分からないけど…なんだか人もポケモンもいない、閑散とした村に飛ばされたみたい。誰の仕業か分からないしエスパータイプの仕業かもしれないけど…」
ボールから様子を見ていたようで、みんなそれ程驚いてはいなかった。頭の良い子達だ。
「とりあえず、この家を拠点とするよ。危険かもしれないから村からは出ないで。村の中ならある程度好きには動いて大丈夫だと思う」
そこまで言ったところで、ヤミラミのお腹がぐぅ、と可愛らしい音を立てたので口を噤んだ。
「…ヤミー…」
「く、ふふっ…もー!可愛いなぁ。じゃあ先ずみんなで食料を探しに行こうか」
その言葉に、みんなお腹空いていたようで賛成だと鳴き声を上げ、意気揚々と家から出た。
私もそれに続き外に出て、少し歩いたところでルカリオがビクッと反応を示す。
驚いたように振り向くルカリオにつられ私も後ろを向く…と、次にヤミラミが激しく警戒体制をとり、次々とみんなが威嚇をし出しては、私を庇うように囲ってきた。
どうやら事態を分かっていないのは私だけらしい。
「どうしたの、何を察知したの」
「ドンファ!ドンファ!」
ドンファンが、あっちだ!と言うように鼻で先を指す。
その先には………
「…なに、あれ…全裸…?」
全裸で、変なポーズで、ドスンドスンと音を立てながらこちらへ走ってくる、人影が見えた。