034


アークとして飲料水スライムを継続して委託販売してくれる商談がうまくいったアレクサンドルが、拠点の屋敷に帰ってくナマエに食ってかかる

「ンで手前ェ先に帰ってんだァ‥‥!」
「自由にしていいって言っといたろコラ 親にむかって"てめぇ"はやめなさい、商談成立おめでとう‥‥!よくやったぞ」

対面している状態で互いに両手を組み、押し引き取っ組み合う

「あッ!筋力パワー強化すンな!今日と云う今日は我慢ならねェ‥‥ッ!!臣下放っぽって勝手に出歩く主が何処に居ンよ」
ここにいるだろ。

憎さ有り余って怒りが込み上げ吠え散らすアレクサンドルと、完全スルーでしれっと動じてないナマエ。
両者から安全な距離をひらいた傍らで、夕飯時 食堂に集まっている魚人マーマン,獣人ビーストマンたちは(またやってるあの二人‥‥)今朝の期待値最高潮の好カード、しかしながら勝負にすらなっていなかった、ナマエが大魔神という事実は瞬く間に知れ渡る。

魚人マーマン六騎士は一層 主を尊ぶ。
ベイとエルキー以外。全獣人ビーストマンは(もう好きにして。)生殺与奪の権利、自分たちの運命。ナマエたち上司に預けた生き残れる確率でいったらそっちの方が高い──心底思い知る。

手を洗いなさい‥‥‥!
「お───応、」

屋敷に帰ったら先ず手を洗え駄牛──!(聞こえた!)アレクサンドルにだけ。念話じゃない。怨念こもった害意飛ばす獣人ビーストマンたちもカーリィナから殺気を察してビビりあがる何された

すごすご洗面台に引っ込むアレクサンドルと手握り合ってたナマエも一緒に、本日商談がどう成果出せたか過程を報告し合い、一先ず資金調達の目処が立ったことを健闘讃える。

(女児のまま卸しの商談往ったア!!?)
(応とも!一番槍は私の方だったな〜)


疲れた。カーン・ベイディクドは領主ナマエの元についてった後 同族皆から推奨され、頭目として役割を担おう意気込んだ。のにも関わらず──自分の実力なぞ遠くに及ばない遥か天上の化け物が世に在った

もっと賢くやれる方法あったか?
もっと強ければ同族を助けられた?
もっと自分に足りないなにかを補えば?

自問自答して徒労に。無に終わる──
ナマエなら その答えに行き着く

そう思えてくる自分に歯がゆい憤り
劣等感ばかりで なにも

自分で掴めてはいなかった

「くやしいか カーン?」

はっと顔を上げる 牙を剥き出しに唸っていた──老年獅子の獣人ビーストマンエルキー住まうコテージに夕餉を届きに見舞いにきた、ベイは寝室で食事をともに。ぽつりぽつり今日一日起こったこと、ナマエの話しなると項垂れてやるせない感情をみせてしまった、恥ずかしいと思うもエルキーの寛容な気品に。率直な気持ちを吐き出せる、いつも助けられている

「悔む‥‥‥‥‥‥‥嗚呼 悔しい、女に負けて死んでいった仲間に顔向け出来ん」
「はっはっは!」
「なァ!?何が可笑しい!!」
「はぁ───カーンよ、いつからナマエと同じ土俵に立った?」
「グ‥‥ッ!」

からからと高らかに笑い出してエルキーの言に図星指される。勝ったとか負けたの話しより以前の。ナマエいいよう扱われている──現状事実

「御方はきっと我々を良い明日に導いてくれる、此の先より良い明日にな」
「?──アイツと話したのか」
「あぁ‥‥とても美しい海を眺めて」
「うみ」

うみってー あの 海??
強大な海洋モンスターがいたんじゃあ

「海イイイイ!?」
「今朝のメシに出たろ。若いモンは早計だな〜まったく。すぐに早まった考えで結果を出したがる」
「何も聞いてねーワア!!」

海に進出!!西方のおわりに到達してた
出逢った日に言ってた通りに!?

何度も味わってきた驚嘆をベイはこれ以上もう無いと思っていた 衝撃度合いかるく超え、全身の毛が禿げ散らかす虚脱感に心臓が脈停止しかけた

ウヲオオ絶対何かしてくる!!!又この流れかッ俺等が知る頃には全部仕上がった後だもももしくは冥途使いに、ここ ッ駒としてころ

「死にゃーせん。信じてみてそれでもダメだったら"逃げ"ても遅くはなかろう」
「っそんな簡単に‥!!」
「賭けてもいいぞ───あの御方ならばやってくれる」

歯車同士 綺麗にはまった感覚で獅子の言が一石投じられ。頭では理解したが腑に落ちない、であるも今のところこれしか納得せざるを得ない

「〜〜〜、わ かった‥‥」
「ナマエ様の傍を離れるな。見て居ろ、カーンお主の力が必要になる時が来る。どう判断するかは‥‥自身の心に従え」

若き狼と老いた獅子が固く手を結び
王とナマエをさだめる。宿命付けた


明朝。霧深い陽が昇らぬ刻限を以て
リ・ロベル都市の水門八つが開門され、街の中心部へ端から端へと汚水に塗れていた運河の川水が澄み渡るのを十数年かぶりに住人は目にする

海に通じる水門が開いた状態で 不思議な薄い透明な膜とともに外壁と連なって銀素材の針の槍状・きめ細やかな格子柵の壁が建設されモンスターの侵入を防ぎ、海水のみを通過している。

門番が口々に噂。住人の耳に入る──
「当主の使いで来た」「魔法詠唱者マジック・キャスターだ」女は名乗らなかった、医療に携わるものとしか。点在する水門を 他に例を見ない荒業──魔法で一人 事を成した

女が去ったあと 腐臭がひどかった運河が濁り消えた。奇跡だ。だれかが叫んだ

あの女は何者なのか
人々の記憶に刻まれることになる


アレクサンドルは諦めた。何遍云っても一人で往くなと。馬耳東風。大将にも彼女の為すべきことがある、己に言い聞かせ 課題をこなそう。日課の獣人ビーストマンとの鍛練を付き合い、冒険者として名を馳せる

夜明け前にリ・ロベル水門常時開放の務めを、たちどころに完了。拠点へ早々に帰り 朝食済ませ、会議室に魚人マーマン六騎士を集める

「漁業は先送り‥‥ですか?」
「そう。まだ早いここぞという刻で一斉に乗り出すぞ、誰もが度肝を抜かす 機を待て」

上座は存在しない円を築く椅子に座り、合掌 両の指を合わせたポーズでナマエは思考を回転止まらせないままウーノをリーダーにした全魚人マーマンに謝罪を述べ

「君たちを海に行かせたかったんだがな すまない」
「何を言うのです。急いて事を仕損じては元も子もない、ナマエ様のご意志に異論などありませぬ」

リーダーの言に皆賛成の頷き。召喚主であり君主たり得るナマエの命に従う、強い団結力が窺える。
感謝を全員に。更なる成長飛躍を図り

「では新しい仕事を任せたい」
「お任せ下さい必ずややり遂げてみ

「女の子と仲良くしてくれる」

はい?


魚人マーマンに作戦のあらましを伝えてから。ナマエは南区画へモヴウのもとへ顔出す

「おっはよーモヴウ村長!!」

(朝からテンションたっけえ〜)農作業に朝早くから勤しむ住民らは心のなかツッコむ。
村長の話しから何とはなしに、新しい領主がどういった御方か分かった──うん 住む家、土地も用意して、良くしていただいてもうなにもツッコまない方が懸命ということを皆 理解する。

「昨日お試しの水晶はどんな感じだったー?よく眠れたかい」
「ええ!それはもう‥!とこに入って目が覚めたら朝になっておりまし
「ほう!少しばかり改良してみたいんで何個か持ってちゃうよすぐ返却する!」
「ッああ!?おおお待ちになああああ」

(嵐だ──!嵐の化身だ)住民は自分たちの生活で手いっぱい、各々の仕事で成果出そう。
幸いにして獣人ビーストマンと徐々にだが 少しずつ意思疎通も出来るようになった。
前だったら亜人種と協力する有り得ない状況であるも、昼飯を共に食べ合えるまでに。食事の際 意外であった感情の機微がわかりやすく、会話する機会が増えていくうちに彼らも同じ底なしの苦難を乗り越えた同志であったことを気付く。


せわしないですねぇ貴女は
「ドックはいーっつも辛辣ダネ。」
「飯ぐらい静かに食わせろクラア!!」

地下工房。回収したいくつかの<睡眠スリープ>込めた水晶の効果持続時間を検証するのに丘小人ヒルドワーフたちのドカ盛り朝ご飯と持って来たのにねぇひどくない?皆が起きる前からガンバってるんよ?誰かほめてくれたっていいよねバチあたんないよねえええ


地獄に片足突っ込んでるんだからあああ




もどる
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -