ぷれぷれ時空
シャルティアを精神支配から解放し
ひとまず安堵したアインズだったが玉座の間から、突如として謎の株式会社ナザリックという時空に転移させられる。
いきなり社長の座に就き慌てふためく最中 守護者もとい社員たちに混乱を悟られぬよう今日も今日とて、ホワイト企業を目指す。
(ていうか何の会社かすら把握できていない‥‥)
ゲンドウポーズで社長椅子に腰かけ、心のなかでため息をつく。
「アインズ社長!間もなくプレゼン会議となりますのでこの!わたくしと!共に参りましょう!」
(えっ?なんの会議?)
傍で秘書(?)として控えているアルベドが何やら気合いの入っている様子で時刻を知らせてくれたものの、プレゼン?んん何の?と頭をひねりながら会議室へ足を運ぶ。
前を先導してくれる気合いオーラばしばしのアルベドが、会議室のドア取っ手を回して室内には既に会合準備万端!というキラっキラした仕事できる雰囲気を醸し出す三人の姿。
「これはアインズ社長、アルベドさんもお疲れ様です」
(あーっ!ナマエさんたちの会社かぁ!)
納得の人選に心中で手打ちをぽんっと鳴らす
ナマエ・エリクシール──俺とまったく時を同じくして異世界に転移してきたユグラシルプレイヤー、傭兵をしていたソロプレイヤーでなんとあの武人建御雷さんの従妹!そうとは知らずになんやかんやあってナザリックに引き入れる時の大騒動は、今としては良い思い出だ。
(あれ?そしたら今のナマエさんも皆と同じ、社員設定になってるのか?)
「ご多忙であらせられるなか時間を割いていただき誠に有難うございます」
護衛兼部下としてアレクサンドルとカーリィナも挨拶お辞儀するナマエに続き、深々と頭を下げる。
(すごい眩しい!デキるオーラが後光すら見える!?)
負けじとアルベドも今日は珍しく(無駄)口を挟まず、しずしずと席に腰を下ろすまさかこの為だけに!?
「それでは早速プレゼン会議に入りましょう、本日試供品としてお持ちしました我が社の商品」
アタッシュケースの鍵を開け披露する
「こちらの四つの水晶──向かって左端、黄緑色のものが美容効果あ
「買ったあっ!」(まだ説明途中だったよっ!?)
勢いよく椅子から立ち上がって机をへこませる力で叩き、鼻息荒くするアルベドをどうどうと落ち着かせる
「んんっ、失礼しましたこちらはまだ試作となりますので、寝る際ベットの上に置いておくと乳液クリームと同じ保湿効果を全身に期待できる水晶。アルベドさんにお渡ししておきましょう」
花が咲いたよう受け取った水晶を大事そうに抱えるアルベドに。え?そういう会社なんだ?とハテナ浮かべるアインズ
「続いてあと二つも健康に嬉しい、よく眠れるように睡眠の質を上げる効果が魔法で込められている水晶と。好意を寄せる異性を振り向かせるのに最適な香水をふりまけられる水晶
「全部買いよーっ!」(だからお前が決めるんかい!?)
試供品の水晶三つともアルベドの手に渡り ほくほく顔で喜んでいる──なんか踊らされてる気がしなくもないが。
「最後の試供品というのは」
「フフ‥流石アインズ社長御目が高い」
えええーナマエさんこんなキャラだっけーっ!?すっごい悪者顔してるし最後に残ってるのドス黒すぎてこわい!
「こちら指先サイズの何処に仕込んでも全くバレない迷彩が施してある──盗聴用仕様でございます」
(キャー!ととと盗聴!?)ガクブルが止まらない!
なんておそろしい子!
「パワハラの証拠録音はもちろん。セクハラでも対応している録画機能も搭載水晶、これを敵対する企業会社内に仕込んでおけばナザリックに価値ある情報を自動的に入手できる算段にあります」
(まずそれをどこに仕込めと言うんだーっつ!?はっ!アルベドがよこしまな考えで手にしようとしている!駄目だよせーっ!アルベドぉおう!)
瞳にアインズ社長しか浮かべていないアルベドが、よだれ流し息荒くその小さなドス黒い水晶を
「──と思いましたが、まだ改良の余地ありと判断致しますので一先ず我が社に持って帰りましょう」
件の水晶をそのままアタッシュケースにしまい、途端に涙ぐむアルベド
(よかったー!危機は脱したぞー)
「それではアインズ社長、またのプレゼンをご期待ください。アルベドさん、近いうちに効果の程ご感想教えてくださいね」
颯爽と身支度を整えて会議室をあとにするナマエたち
「あっあの‥──待てエリクシール」
「はいアインズ社長」
「ま、またのプレゼンとかではなく‥‥その、ナザリックの近くに寄った際は顔を見せて欲しい」
ぱっと明るく顔をほころばせ、少女のような笑顔を浮かべる
「はいっ!アインズ社長のお役に立てるよう日々精進致します!」
(そういう事じゃなくってね?)
嬉々として会議室のドアをくぐろうとする際に
「おっと」
御方に呼ばれたうれしさのあまり、前方の注意を怠ってしまったナマエは会議室の前を通るデミウルゴスと鉢合わせてお互いぶつかり。持っていた資料書類を床に散乱させてしまうが、力強い腕が腰にまわり支えられ転倒をまぬがれる。
「これはナマエ様 申し訳御座いません、お怪我はありませんか」
すごく絵になる両者が見つめ合っている、アインズはしばし身を寄せ合っているその光景に、色んな憶測がぐるぐるとまわって冷静な判断ができないでいる
(んんっ?‥‥‥‥ぅんん〜!?)
おっとこれはどうなんでしょう
「本日はアインズ社長とのプレゼン会議だったのですね」
「う、うん‥デミウルゴスもう大丈夫だから(近い)」
ナマエたちのすぐ背後に、烈火の如く最上位悪魔を引っぺがさんとするアレクサンドルとカーリィナが動くまであと1秒
「そうだっデミウルゴスに見てほしい水晶があるんだけど」
「ほォそれは大変興味深いです」
(っやめーい!)えげつない改良加えられちゃうから!
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