何時の間にか寝てた私が目を覚ますと、もう朝になっていた。

ついに今日が…最終日。
そういえば佐助達帰っているのだろうか。

「…佐助。」

ああ、やっぱりこのまま帰りたい。
お荷物になるのは嫌だ。ここで思いを告げたって私が戻ったら記憶が消えてしまうかもしれない。
楽しかった日々の、たった7日間だったけど、とても楽しかった日々の。

悶々と唸りながらも考えていると、不意に名前を呼ばれた気がして振り返る。
そこには、

「さ、すけ…?」

「…うん。ただいま。」

「本当にさすけ?分身とかだったら許さないから。」

佐助が立っていた。所々傷もあるし、服はボロボロで、頭にも葉っぱがついていたり。
急いで来てくれたのかな、とかちょっと期待しちゃって。
夢かと思って思いっきり佐助の頬を抓ってみる。

「…つかめる。」

「ちょ、痛い痛い!…あはー、なまえちゃん信じてなかった?俺様ですよー。」

涙で視界が霞む。こうやって無事に帰ってきてくれたのは勿論だけど、私が現代に帰る前に佐助の姿が見れて、うれしくて、うれしくて。

「!ちょ、ちょっとなまえちゃん!?ど、どうしたの?」

「…さっ、すけ…!」

思わず抱きついてしまった。

「…っさす、けええええ、!!」

「え?え!?何、どうしたの!?俺様なんかしちゃった?」

「ううん佐助は何もして、ないよ。…帰ってきてくれたのが、うれしくて、…おかえり、」

「なまえちゃん…ただいま。」

佐助が帰ってきたら最初に、おかえりって言おうと思ってたんだけどね。ごめんね。
それからもう一つ、謝らなきゃ。

「…え、なまえちゃ、ん?…透け、てる、?」

ああ、もうさよならの時間なのか。

「、佐助ごめんね。私もとの時代に帰るみたい。」

「!な、なんで!なんで言ってくれなかったの、!」

「ちょっとした、サプライズ…なん、て。」

サプライズなんかじゃない。ただ単に言いたくなかっただけ。
だって、それを言ってしまったら戦どころじゃなくなるでしょう、と。
悲しそうに言うなまえを見て、ああ、この子はこんなにも…、胸を締め付けられる気がした。

「もう、…さよならだね。みんなと過ごした時間、忘れないから!みんな大好きだよ。でも一番は、佐助。」

「!」

「分かってる、忍には感情が不要だって教わってきたのでしょう?この気持ちを伝えるか伝えないかとても悩んだよ。この気持ちがお荷物になるのでは、とか佐助を縛り付けてしまったら、とか。」

この子が俺様のことをこれだけ考えてくれていた、ということがうれしくて抱きしめようとした。
だけど、

「…っ!」

「もう、行かなきゃ、かな。」

腕がなまえをすり抜けてしまって抱きしめることも、触れることもできなくなってしまった。

「佐助、たまには人になってもいいんだよ。忍は道具とか主だけを守っていればいいとかじゃなくて、たまには感情を前に出してもいいんじゃないかな。多分、人として笑ってほしいとか幸村も考えてると思うよ。・・・って私が言えることじゃないけどね。」

感情を出してもいいの?忍が?道具なのに?
やっぱりこの間のもやもやは好き、っていう感情だったのかな。

「…好き。」

好きという言葉を口にしてみると、もやもやが軽くなった気がする。
やっぱり俺様は、なまえちゃんのことが好きなのかもしれない。

「俺は、なまえちゃんのことが好き、だ、と思う。」

消え入りそうな声で佐助は言った。
その一言が聞けただけでうれしくて、また涙がでてきて。

「佐助、ありがとう、私も佐助のこと好き、だよ!」

と涙ながらに笑顔で彼女はそう言って、消えた。
腕にかすかに残る暖かさが、彼女がここにいたという、証。

「…また、いつか、会えるといいな。…なーんてね!さ、旦那のところに行かなきゃ!」



そして、
(7日目:ありがとう、さようなら。)

100905
……………………
多分、完結になるかな
久しぶりすぎて結末とか、話し方とか変わっててすいません!

 

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