さて、買い物に行く手段だが車でいいよね…?

「今から皆さんには、車というものに乗って買い物に行きます。馬の代わりのものです、かなり早いです。」

助手席に元就、後部席に伊達さんと片倉さんを乗せる。

「そしてシートベルト…ええと、左上にあるものをびょーんと引っ張って、右下にカシャッとはめて下さい」

擬音語が多いのは致し方ない。それ以外に説明方法が見つからないのだ。

「なまえ、これをしないとどうなるんだ?」

「透明な壁からとびててしまいます。下手すればおだぶつですね」

「……」

「さ、出発ー!」

便利だけど、注意しなくちゃ危ないのだ。しっかり規約は守らないとね!

「みょうじ、どこへ買い物に行くんだ?」

「ショッピングセンターといって、多くの商店が集中した施設です。市が一カ所に集まった感じですね」

「…車といい、本当に便利だな」

便利。私からしたら普通のことだけど、よく考えてみると彼らからしたら凄い発展している未来、なんだ。当たり前すぎて、考えたことないけど…便利、か

もし、彼らがこの便利な時代に慣れてしまったら?彼らが急に元の時代に帰ってからが大変なだけじゃないか。なるべく、彼らの時代に近づけて生活してみるかな

「どうした?ボーっとしてるぞ」

「あ、いえ、少し考え事を。片倉さんは元の時代でなさってたこととか、趣味とかありますか?」

「趣味、か…、畑を少し」

「野菜作ってたんですか!?」

「なまえ!小十郎の作る野菜はすごい美味いんだぜ!」

な、なんと…、野菜を作ってたんだ。野菜か…裏に畑があった気がする。母は土いじりが好きで、ガーデニングとか色々やってたなあ
よし、これを採用しようっと

「片倉さん、よかったら家で野菜作りやりませんか?」

「!、…いいのか?…みょうじはなぜ、会って間もない俺達にそこまでするんだ?」

「いや、できるだけ皆さんが元の時代でやってたことを、こちらでもやっていただこうと思って。その方が元の時代に帰ったとき、多くの不自由はないはずですよ」

と、さっき考えていたことを話す。私が出来ることはなるべくやりたい。衣食住を提供するだけでも精一杯なんだし、そこまでしなくていいじゃないか、と言う人もいると思うけど。元の時代と同じように過ごしてもらえればいいな、って。だって彼らは、いつかは帰らなくちゃいけない身なのだからね
っていっても、してやれるのは家の中くらいだけどさ

「ま、人の好意は受け取っておくことですね」

「HA!気に入ったぜ!なまえ、俺に敬語はいらねぇ!好きに呼べ」

はい?いや、なぜそうなる

「…俺にも敬語はいらねぇ。政宗様を差し置いて敬語を使われるわけにはいかねぇからな」

片倉さんからもそう言われた
いや待て!だから、どうしてこうなるんだ!

「ちょ、ちょっと待って下さい!え、なんでいきなり敬語いらないとか、本気ですか!?」

と、ちょっと自棄気味に叫ぶ。いや、ほんとに大丈夫かこの主従

「ああ、信頼はしてねえが信用はした。いきなり現れた俺達にここまでしてくれる奴に悪者はいねぇ…と信じてる。…、あのときはいきなり刀を向けてすまなかった」

「coolじゃねぇか小十郎!」

「いえ、あのときのことは気にしないで下さい。突然の事だから仕方ないですよ。
…、じゃあ、政宗と小十郎さんって呼ぶのでおあいこって事に!」

ここに来て距離が少し縮まった気がする。信頼はされども、この短時間で信用されたことは少なからず嬉しい。いや、かなり嬉しい。さて、もうすぐ着きます

「さあ、そろそろ着くから降りる準備してねー!」



信用
(それだけでも嬉しくて)

さあて、買い物ですよー!



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直し:111226

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