「なまえ殿!あれはなんでござろうか!」

「なまえちゃん!あの塊はなんだい!」

思った通り、幸村と慶次は騒ぎ、元親は車のシートベルトやドアを不思議そうにみている。…分解する気か!
佐助はというと、幸村を落ち着かせようとしているが、いつの間にか幸村のペースに引きずり込まれてる。

「もうすぐ着くから降りる準備してね」

「お、おう。この帯はどうやって外すんだ?」

「さしたところに赤い色で押すって書いてある場所があるはずなんだけど、押してみて?」

カシャって音がしてシートベルトが外れた。と同時に、シートベルトの金具部分が元親に当たり思わず吹き出してしまった。

「はい着いたー!ここがショッピングセンターです。どういうところかは政宗たちに聞いてると思うんだけど、ここには自動で動く扉や、自動で動く階段があるの。無理だと思うけど、なるべく騒がないように!あとはぐれない!」

「心得た!」

「子守は俺様にまかせてねー」

「む!某は子供ではござらん!」

幸村は佐助がいるから大丈夫だね。あとの二人も大丈夫だと信じてる…

「まずは布団を買いに行きます。ちゃんとついてきてね!」

布団売り場は一階の一番奥だ。布団はすべて配送してもらうが、どんな布団がいいのか一応きかなくては。戦国時代の布団ってどんなものだったんだろ?

そして、やっと売り場に着いたのだが、既に2人が行方不明となっていた。一人は元親、もう一人はまさかの佐助だった。

「あれ、佐助がいない…」

「はいはいーっと!ここにいますよ」

「え」

いないと思っていた佐助が空中から出てきた。これは一体…?

「忍だからね」

「いやいや、理由になってないよ。ここは人が多いんだから、見られちゃうよ!やめてよ!」

「俺様はそんなへましません!」

忍って言ってるけど、その髪の色は忍ぶ気がないように見えるよ。

ふと、ここで気づいたことがある。彼らは本当に過去の偉人なのだろうか。南蛮との交流があったとはいえ、橙や銀色の髪をした人はいたのだろうか。当時の日本人で英語を話す人はいたんだろうか。そもそも、日本人ってこんなに長身だったっけ…?あんな衣装を着ていた偉人はいた、っけ…?


答えはNOだ。今まで習ってきた中に、こんな格好をした人達なんかいなかった。伊達政宗が英語を話すだなんて一言も書かれてなかった。

だとしたら、一体、彼らは何者なの…?


「柚子ちゃん?布団どれにするの?」

「え?ああ、今行くね!」



(謎ひとつ)



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