あの後、1時間30分が経ってようやく説明会が終わった。何で出来てるんだとか、どんな仕組みなんだと聞かれたから疲れたのなんのって。触らないで、って言ったのに長曾我部さんは分解し始めるし…。現代で仕組みとか材料がわかって使ってる人なんていないと思うけどなあ

「一通り説明が終わったので、皆さんリビングでくつろいでいて下さいね。夕飯が出来たら呼びますので」

と告げてキッチンへ足を運ぶ。足音がするので、何人か着いてきているようだ。

「これから、夕飯をつくります。手伝って、下さるのですか」

「いいよ。変な動きされたら困るしね」

着いてきたのは小十郎さんと猿飛さん。なんとなくそんな気はしてたよ。
下手な動き…、たぶん毒とか入れないかのことだよね。そして見張り

「カラクリの使い方教えてくれねえか?……俺はなまえを信じてる、信じてるからこその見張り、だ。食事ほど人を殺すのに簡単なものはねえからな。ここで変な動きさえなければ猿にも信じてもらえるはずだ」

「…っはい」

小十郎さんは優しい。オブラートに包みつつ、なるべくストレートに言ってくる。
小十郎さんが小声で伝えてくれた言葉に安心して作業に取り掛かる。まずはコンロ、水道の説明。そして電子レンジや冷蔵庫などの説明。使い方を教えるとすぐに覚えてくれた。

それから私たちは3人並んで立ち、夕飯を作り始める。
さすが小十郎さん、野菜を作っていただけあってなのか、包丁捌きがすごいです…。あ、普段から刀つかってるから、それもそうか
猿飛さんに、調味料のことで途中あーだこーだ言われた。珍しいのかな

そして調理し始めてから30分、具だくさんの寄せ鍋が出来上がった。
猿飛さんは、みんなに料理が出来たから席に着くように伝えるよう頼んだ。その間、私と小十郎さんで鍋を運ぶ。

「おお!上手そうだな!」

「おおお!みょうじ殿は料理が上手でござる!」

「いえ、これはほとんど猿飛さんと小十郎さんが作ったものですよ。さすがにここまで上手く作れませんよ。」

そしてテーブルにわらわらと集まりやっと食事。

「はい。じゃあ、いただ

「なまえちゃん、毒味してもらえる?」

あ、そっか毒味。さっき小十郎さんが言ったみたいに食事ほど簡単に人を殺せるものはないもんね。
でも、見張りしていて、毒なんか入れてないって分かったはずなのに。…ああ、多分調味料を疑ってるのかな。まあ、それがわからないから毒味させるんだろうけど

「じゃあ、毒味、しますね」

そう言って私は鍋の具を一口ずつ食べる。種類入れすぎて、これだけでお腹一杯になりそう

「みょうじ殿は佐助に毒味なんかさせられて、嫌でないのでござるか?」

「仕方ないですよ。大切な主を守るのが猿飛さんの役目ですから。それに、毒なんて入れてないので毒味なんて怖くありません。それで猿飛さんが納得して下さるのなら、幾らでもしますよ。…はい、ごちそうさま。
さ、みなさん食べて下さい。おいしいですよ」

私の言葉に、みんなはおもむろに箸をとり食べ始める。

「HA!うめえな!」

「美味にござる!」

「この魚うまいな!」

口に合ったようで、それからみんなは黙々と食べた。時折他愛もない会話を交わしながら



鍋を囲んで
(わいわいがやがや)

家族のような温もりを感じた



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