―白い光りの中に 山なみは萌えて


式歌斉唱。どんどん終わりに近づく卒業式。私はここで思わず涙を流してしまった。隣にたって、歌っている元親の声が泣いてるような気がしたから。

「名前、…何泣いてんだよ、」

「っも、とちかこそ…」

「俺は泣いてねーよ、」

涙目で言われても、説得力ないよ、ばか。そう小声でいった。3年間色々あったね、っていうとおう、って返してくれた。この3年間、本当に色々あった。まずは元親と巡り会えたこと。そして、仲間に出会えたこと。それから、元親に恋をした。告白しようとしたとき、みんなはサポートしてくれた。両思いだと知ったとき、2人で嬉し涙を流した。授業をサボろうとして先生にばれたり、お昼に屋上でご飯を食べたりした。
たくさんの思い出が走馬灯のようにかけていった。


―いま別れのとき 飛び立とう未来信じて


「元親。わたし、元親に出会ってからのこと絶対忘れない。今までありがとう」

「ばか。ここは、これからもよろしく、だろ」

わしゃわしゃ、と私の頭を元親の大きな手がなでる。
歌い始めたと思っていた式歌もいつの間にか終わっていた。一同起立、礼!先生の声が静かな体育館に響く。これでこの体育館とも、学校ともお別れか…。たくさんの思い出をありがとう、たくさんの出会いをありがとう。これからも、元親の隣で、この学校以上に思い出を作ります。


―卒業者、退場。


私たちは今日、この学校を、卒業します。


 旅立ちの日に



110318
卒業シーズンということで