▽ 2
「さて……どうなるのかしらねぇ、あの二人は」
誰に言うでもなく、ルイーダはぼやいた。それに同意するようにカレンも頷く。
「いつも、くっつきそうでくっつかないんですもの。全く、一緒に旅をしてるこちらの身にもなって欲しいですわ」
「ま、今回のデートで何か変われば良いんだけれどねぇ」
そこで、リッカがやっとルイーダの思惑に気付いたらしい。
「……ルイーダさん、もしかして、それであんなことを言ったんですか?」
「あら、何のこと?」
「もう、とぼけないでくださいよ!」
あんなこと、とは病み上がりのアルティナに外の空気吸ってこいと言った辺りの云々であろう。
「別に騙したつもりじゃないわよ。アルティナにそうして欲しかったのは本当だし、リッカだってリタに気分転換をして欲しかったのでしょう? 利害の一致ってヤツよ」
「ルイーダさん……それ、何かが違う気がしますわ……」
ルイーダは、そんなカレンのツッコミを華麗に黙殺すると、肩をすくめた。
「それに、何というか……ほら、面白そうだし?」
その言葉に二人が呆れた……かと思われた。
「ルイーダさんったら…………全くもって同意ですわ!!」
「ええっ、カレンさん?!」
力強く同意を示し、がっしりと握手をするカレンとルイーダ。決して面白半分なだけではないとは分かっている。分かっているのだが……いささか強引すぎる気がしないでもない。
そんな二人にリッカはただ、苦笑するしかなかった……。それはなにも、リッカだけの話ではあるまい。部屋には、そんな空気が流れていた。
一方、宿から追い出された形のリタとアルティナはというと。
(……どうしてこんなことに?)
それはリタの心境であり、アルティナの心境でもある。アルティナはリッカとルイーダから事情を聞いているので、ルイーダの思惑に気付いているが、リタはというと、いきなり気分転換をしてこいと言われ追い出されたので、全くもって訳がわからない。
「えーと……とりあえず、街を回る?」
「…………そうだな」
今宿屋に戻ったところで、またルイーダに追い出されるのは目に見えている。ならばしばらく経ってから戻った方が良いだろう、とルイーダの横暴ぶりは経験済みの二人であった。
……妥当な判断であると言えるだろう。
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