▽ 吹き溜まりの橋
アユルダーマ島の南端にあるツォの浜で、リオ達はふたつめの女神の果実を手に入れた。
三人は今、ツォの浜から出た船に乗せて貰って、東の大陸に向かっていた。
「さあ、着いたぜ。ここが東の大陸。この船で来られるのはここまでさ」
ベレンの岸辺の船着き場で、船は泊まった。
この近くから、大陸を分けるように長い川が南北に流れている。
リオ達は礼を言って、船から降りる。
「ありがとうございました。これ、船賃です」
「あ?いいよいいよ。あんたらはオレ達の村を変えてくれたんだ。これくらい安いってもんよ」
「なんだかすみません…」
ルウは手に持っていた60Gを元の所にしまった。
「ま、世界を自由に旅したいなら、自分の船でも持つことだな。なんでも、花の町サンマロウには立派な船があるらしいぜ」
漁師の話だと、サンマロウはベレンの岸辺から北東にあるビタリ山から真っすぐ南下した所にあるという海辺の町だ。
リオ達は次の目的地をサンマロウに決め、歩みを進めることにしたのだが。
「レスター、大丈夫…?」
「吐きそうー」
レスターは船が苦手だった。
◆ ◆ ◆船着き場にあった旅の宿屋で、レスターは休ませて貰っていた。リオはベッドの横でぼーっとしている。
「具合はどう?」
レスターとリオがいる部屋に、ルウが入ってきた。
「もう大丈夫ー」
「そっちはどうだ?何か収穫はあったか?」
「うん。えーと、宿屋のおじさんが、ここから南東にあるカラコタ橋って所で光る不思議な果実を拾った人がいる、って」
「女神の果実…、かもな」
「カラコタ橋かー」
レスターは苦い顔をした。
「…どうした?行って何か不都合があるのか?」
「そうじゃないんだけどねー。あの橋は、身寄りのない人とかー、前科のある人とかが流れてくる、いわゆるーうーん…、吹き溜まりの町、みたいな所なんだよねー」
と、レスターが橋について説明した。しかし橋のどこかにあるらしい“秘密の店”とやらにはレスターも興味がなくはないようだ。
「…あそこを通らないと、本来の目的もサンマロウにも行くことができない」
「まー、僕達はそんなに弱い訳じゃないし、気をつけていれば大丈夫だよー」
ちょっと物騒なだけ、なんだしー。
何だか最近妙に安心させられる笑顔でレスターが笑った。
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