▽ 凶報の行方
ウォルロ村に戻ったリオとニードはニードの自宅に向かい、彼の父である村長に峠の道であったことを報告したが――
「道が繋がればおのずとわかったことだ。命を危険に晒すほどの価値はない。そんなこともわからないからお前はバカだといつも言っているんだ」
と一蹴された。当然のことだ。自分達で土砂崩れをなんとかできたわけでなく、人に任せてきたのだから。
「ぐっ……そ、そうだ! ルイーダと……ルウ? とかいう人が、キサゴナ遺跡からこっちに向かったかも知れないから、確かめて欲しいって言ってたぜ!!」
「ちょっと! それ本当なの!?」
リオとニードと村長しかいない部屋に、突然リッカが乱入してきた。ニードはびくりと肩を震わせた。
「リ、リッカ!? なんでここに!」
「なんでって、あんたがリオを村の外に連れ出したりするからでしょう!! それより、ルイーダっていう人とルウがキサゴナ遺跡に向かったって本当なの!?」
リッカはかなり焦った様子でニードに掴みかかった。
「そういえば、リッカはセントシュタインの生まれだったな。知っているのか?」
村長が冷静にリッカに問うた。リッカは少し俯いて、
「はい……父さんのセントシュタイン時代の知り合いに、そんな名前の人がいたはずなんです。それに、ルウは私の幼なじみなんです!!」
「ふむ……心配だろうが、どうすることも出来んな。とりあえず今日のところはリオを連れて帰りなさい」
◆ ◆ ◆リオはリッカに連れられて、リッカの家に戻った。リビングのテーブルに座らされて、リッカが向かいに腰掛けた。これは、いわゆるお説教タイムだろうか。
「リオが村の外に出てたって聞いて、本当にびっくりしたんだから!!」
「……悪い、リッカ。心配かけて」
リオは素直に謝罪した。全く、リッカには何から何まで世話になりっぱなしだ。
「……ううん、もういいの。リオは私が思ってたよりずっと強かったんだね」
リッカは、リオが最低限の武装をしていることを知ってはいた。だが、戦闘能力を測るまでには至らなかったのである。
「そう思うなら、俺が遺跡に行って確かめてみれば――」
「ダメ! ルイーダさんとルウのことは気になるけど、危険過ぎるもの。そんなこと頼めないよ」
それでその話は打ち切られてしまった。その後リオはリッカを手伝って夕食の支度をし、リッカの祖父を交えて夕食を摂った。
そして夜、リッカが部屋に戻る頃合いをみてウォルロ村を抜け出した。
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