アリアドネの糸 | ナノ

▽ 天使の使命

――ブワッ!!

砂を巻き上げてリオとイザヤールは地に降りた。場所は例の魔物のすぐ後ろ。魔物達は慌てて戦闘体制に入り、二人の天使も、剣を抜いた。

地面すれすれの超低空飛行でリオとイザヤールは二手に別れ、イザヤールの目配せで同時に魔物に斬りかかる。

――ザシュッ!!

一瞬。
リオが大きな方の魔物を一匹、イザヤールがおなじみの魔物を二匹を、なんの造作もなく倒した。

「ほら、おじいちゃん! ウォルロ村が見えてきたよ!!」

ちょうどリオ達の横までたどり着いた少女が、村の入り口を指さしながら老人に向かって声をかけた。老人は、杖をつきながらゆっくりと少女に追いついた。

「おぉ、最初は無理だと思っていたが、なんとか帰って来れたのう」
「もう! おじいちゃんったら大ゲサなんだから!」

濃いオレンジ色のバンダナをした少女は、腰に手を当てて祖父に笑いかけた。

「でも、これも守護天使さまのおかげだよね」

そう言って少女は思い出したように手を握り合わせた。

「道中、お守りくださってありがとうございます。守護天使 リオ様」

すると少女の身体のまわりに、淡い青緑の光がオーラのように溢れだし、小さな光の塊を作り出した。だが少女や老人は何もなかったかのように村の中に入っていってしまった。
光の塊は、リオの元へふわふわと移動してきた。リオは優しく手のひらに包み込む。

「それこそ、我ら天使が集めている、人間の感謝の証」
「星のオーラ、ですね」

リオが先ほどからの表情を変えずに答えると、イザヤールはまた満足げに頷いた。

「うむ。では、一度天使界へ戻るとするか」
「はい」

二人の天使は、空に向かって羽ばたいた。


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