▽ 同行者、ニード
「おはよう、リオ。あなたにお客さんが来てるのよ。ニードなんだけど、とにかく会ってあげて」
と早朝にリッカに言われて玄関に行ってみると、ここじゃ何だからと家の裏に連れていかれた。
「……何の用だ」
リオは不機嫌MAXとばかりに眉間に皺を寄せてニードに聞いた。
「話があるんだけどな、よく聞いてくれ」
ニードは神妙な顔で切り出した。
「お前は知らないだろうけど、この前の大地震で峠の道が土砂崩れでふさがれたんだ」
天使界でのあの悲劇の日、地上では大規模な地震が起きており、ウォルロ村も、教会の鐘が壊れたり、村の入り口が曲がったりと少なからず被害を受けていた。
ニードの言う峠の道とは、ウォルロ村のずっと東にある都市――セントシュタイン城下町とこの村を結ぶ唯一の道のことだ。それが塞がれたということは則ち、この村への来客が途絶えてしまったことになる。リッカの宿屋が暇になったのもそのせいだった。
「おかげでリッカ……いや村中の人々が大メーワクしてんだ。そこでニード様は考えた。このオレがその土砂崩れを何とかしてやろーってな!!」
――頑張れ★
と言ってやりたかった。
だがそんなリオの願いも虚しく、
「だけどな、最近地震のせいで魔物が増えて物騒なんだよ。オレを助けると思って一緒に来てくれないか?」
「…………」
昨日の今日で随分と虫の良いことをこのドラ息子は。リオは目でそう訴えた。
「た、旅芸人てのは結構腕が立つんだろ? それにリッカに恩返しができるチャンスじゃないか!!」
「……仕方ない」
リッカに恩返し、が効いたようだ。彼女に何かしてやりたいと思う気持ちはリオも同じなのだ。ニードと、というのが癪に触るが。
[ニードが仲間になった!]
prev /
next