アリアドネの糸 | ナノ

▽ 実りし日。

星のオーラを取り込むと、シャラ……、と世界樹の葉が擦れて音が鳴って、世界樹が強く輝き始めた。

そして――


キィ……ン!


黄金色に輝く、女神の果実が実りはじめた。

世界樹の枝のあちこちに輝く果実を目で追いながら、オムイは歓喜の声をあげた。

「おお、果実が……! 言い伝えは真実(まこと)だったのか!?」



ポォーーーーッ…



汽笛を響かせ、黄金に輝く天の箱舟が姿を現した。

「天の箱舟が……!!」

箱舟は世界樹の周りを旋回しながら降りて来て、やがて天使界の頂上に静かに停められた、刹那。


…ズガン!!


突然だった。

なんと天使界の下から黒い閃光が走り、天の箱舟を貫いた。箱舟はバラバラになり、地上へ落ちていってしまった。

「な……!?」

天使達の動揺をよそに、閃光はなおも天使界を襲いつづける。

目の前で希望が崩れ落ち、絶望したオムイとイザヤールは膝をつき愕然とした。

「わし達は、騙されていたのか…?」


ズガ…ン!!


大きいのが放たれた。

世界樹のまわりに、爆風が巻き起こる。

「…っ!!」」

イザヤールはオムイを支え、飛んできた岩がめりこんでいるのに掴まり耐えている。リオは近くに掴むものが無く、身体が浮き上がった。

「!! リオ!!」

リオに気づいたイザヤールが咄嗟に手を伸ばすが届かず、リオは天使界の外に飛ばされてしまった。



◆   ◆   ◆




……ぱら……ぱらぱらぱら……


リオは仰向けに、空に向かって四肢を投げ出して堕ちていた。

翼から、羽根が散ってゆく。羽ばたくこともできない。

(……俺は、死ぬのか……?)

身体が重かった。リオは身体にかかる重圧に耐え切れず、そのまま意識を失った。

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