腹がへったと言われれば、それ以外におれが飯を作ってやる理由はない。
大体にして尋常じゃねぇ胃袋を持つ船長が統べる船だ。ランチもディナーもあったもんじゃねぇ。食いたい時に食わせろ精神は一流のコックとしては上等。穏やかな航海で思う存分腕振る舞えるってモンだ。
頭上には順風満帆な海賊旗がはためく。おれは品なくアフタヌーンティーを腹におさめる奴等から抜けて、甲板で一服を堪能中だ。レディ達には部屋に持って行って差し上げた。
あと食ってねぇのはそこで寝っ転がってるマリモだマリモ。マリモは光合成しながら育つらしいしな。こいつも良く甲板で寝てる。つーか寝てるとこしか見たことねぇ。あとは筋トレしてるか…そんくらいしか印象にない。

「起きなきゃルフィに食われんぞ」

言うだけ言って起こす気がねぇのは、こいつの分はこいつの分で、一応確保してあるからだ。こいつは食っちゃあ寝て食っちゃあ寝て、そこいらの赤ん坊みてぇな生活サイクルだが、飯食って満足そうに笑う顔もなかなかガキっぽい。
ルフィやチョッパーなんかもイイ顔して食ってくれるが、おれはこいつの笑った顔に、実は不本意にも一番達成感を得てたりする。
ムカつくぐらい嘘がねぇんだよ、こいつには。逆に言やあ嘘つく知恵もねぇバカっつーこと。おれはそんな単細胞のミドリムシが…あ、ミドリムシって我ながらいい例えだなオイ。ありゃあ光合成するもんな。マリモと並んで使えんな。
起きたら早速罵ってやろう。おやつが夕飯にかぶるのはこのおれが許さねぇから、それまでに起きねぇようなら水ぶっかけてやる。
芝生に水やり。正当な理由だろ。









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