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今日の授業で出された課題を全てやり終え、机の上の時計に視線を移すとちょうど0時を回るところだった。

それじゃシャワー浴びて寝るかな、と思った瞬間、携帯が鳴った。
こんな時間に誰が、と思いディスプレイを見ると――そこには先輩の名前。僕はすぐに携帯を手に取った。

「もしもし先輩?」
『あ、梓君』

聞こえてきたのは確かに先輩の声だ。でも、こんな時間に掛けてくるなんて珍しい。何かあったんだろうか?

「どうしたんですか?こんな時間に」
『えっと…カーテン開けて?』
「カーテン?」
『良いから、お願い!』

どうしてカーテンなんか、と思ったけど先輩に頼まれたのだから仕方がない。
僕は椅子から立ち、ベランダに繋がる窓のカーテンを開けた。そして、そこから見えた光景に驚愕した。

――何故なら、射手座寮の前に先輩が立っていたのだから。

「せ、先輩!?何でここに…」
『どうしても梓君に伝えたいことがあって…』
「ちょっと待ってて下さい。今そこに行きますから!」

電話を切って、上着とマフラーを身に付け僕は部屋を飛び出した。こんな遅くに、しかも一人で出歩くなんて迂闊過ぎる。

そこまでして先輩が僕に会いに来た理由って一体――


「梓君」

僕の姿が見えると、先輩は嬉しそうに笑った。その表情は凄く可愛いと思うけど、今はそれよりも大事なことがある。

「こんな遅くに、どうして一人で出歩いたんですか?用事があったなら言ってくれれば僕が行きましたのに」

少し責めるような言い方になってしまっただろうか。だけど、先輩が危険な目に遭わないためにも、ここで言っておかなければならないことだと思った。

「ご、ごめんね。でも…どうしても私から伝えに来たかったの」
「え?」
「…梓君、お誕生日おめでとう」

その言葉と共に、先輩は僕の身体をぎゅっと抱きしめた。

「せん、ぱい」
「誰よりも先におめでとうって言いたくて。だから会いに来たの」

そう言った先輩の横顔は暗闇でも分かる程、赤く染まっていた。自分から抱きしめるなんてことに慣れてないから、きっと恥ずかしいんだろう。そんな仕草すら可愛いなんて。


――全く、先輩には敵わないな。

「…有難うございます、先輩」
「梓君」
「本当に、嬉しいです」

嬉し過ぎて、それ以上言葉が出てこなかった。それでも先輩は分かってくれたようで、笑顔でもう一度おめでとうと言ってくれた。

今度は僕の方から先輩を抱きしめ、そして僕におめでとうと言ったその可愛い唇にキスをする。すると、先輩の顔はさっきよりも真っ赤に染まった。本当に――可愛い。

「先輩…愛してます」


月明かりの下で、僕達は再びキスをする。

――あなたが与えてくれる幸せを、もっと感じたいから。


僕のかぐや姫

(誰にも、あなたは渡せない)



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梓誕生日おめでとう!ということで記念文です。梓月は初めて書きましたが、何か別人ですね(苦笑)梓はあんまり祝われても喜ばなさそうですが、月子のお祝いだけは心から喜びそうです。





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