stsk | ナノ




放課後、生徒会イベントの片付けが終わると、私は教室で待ってくれている錫也のもとへと急いだ。ドアを開けると、私が来たことに気付いた錫也が笑顔で迎えてくれた。

「ごめんね錫也、遅くなって」
「大丈夫だよ。しかし今年は大変だったな」
「…まさかビンタしてくれなんて言われるとは思ってなかったよ」
「まあ、そうだろうな」

そう言って笑う錫也の隣に私は座った。すると錫也は机の横に掛けてある紙袋の中から箱を取り出して、それを開いた。
その箱の中にはそんなに大きくはない、ハートのチョコレートケーキがひとつ。デコレーションも完璧で、まるで売り物みたい。

「錫也これ…」
「そう、俺からのバレンタインだよ。受け取ってくれる?」
「凄い…でも私何も用意してないよ?」
「それで良いんだよ」
「え…?」

錫也の言葉の意味を図りかねていると、錫也が一瞬言葉を発することを躊躇うような、そんな素振りを見せた後、また口を開いた。

「…たとえば、お前がチョコを用意するとしたら、俺だけじゃなくいつもお世話になってる人達にもあげるだろう?義理だとしても…俺はそれが嫌なんだ」
「錫也…でも私が好きなのは錫也だけだよ」
「分かってる。だけど、俺はどうしても嫉妬する自分を抑えられそうにないから…だから、それなら俺が月子に作ってやれば良いと思った。そうすれば…お前の笑顔は俺だけのものだろう?」
「錫也…でも私だって錫也の為にチョコ用意したいよ」
「月子」
「来年のバレンタインには錫也にチョコあげたい…駄目、かな」
「…俺だけに作ってくれるなら」
「うん!勿論だよ!」

私がそう言うと、錫也は嬉しそうに微笑った。錫也が嬉しいと…私も嬉しい。来年こそは錫也にチョコをあげよう。出来れば…手作りが良いな。その為にも、今から特訓しようと、私は心に決めたのだった。


チョコレートよりも甘く

(優しい錫也の笑顔が、大好きだから)



****
久々のstsk創作でした。バレンタインということで錫月にしたんですが、何この錫也ヤンデレフラグ^q^彼の独占病は結構重度ですからね(笑)哉太だけはそれに気が付いていそうですが。
錫月だと月子がチョコを用意する様子が思い浮かびませんでした。毎年錫也が用意するチョコを食べていそうですね(笑)




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