「……ッあ、」 「もっと声、聞かせててくれ、」 ぐちゃりと卑猥な音がする。 私の中に侵入してくる指は優しく、悪さをした。 いつもはお客さんに何かを振る舞うテーブルの上で、こんなこと。 頭ではわかっていても、抗えない。 「ぁ、や、マルコさん…っ」 二本の指が中を蹂躙し、親指が肉芽を擦る。 彼の唇が私の胸の突起を食み、時折歯を立てた。 ぞくぞくと駆け上がる痺れに脚は緊張し、手はこれ以上あられもない声を出さないよう口元を抑え、視線はただ、彼に注ぐ。 「もう、…っ、これ以上、焦らさないで…!」 「ッ、くそ、」 「お願い、だからぁ…っ」 気を緩めたら、すぐにでも果てそうで。 太腿を彼の腰に摺り寄せると、すっかり熱を帯びた彼の瞳が私を捕らえた。 一度身体を離され、彼の腕が私の腕を取り、彼の首の後ろへと回される。 「ヘレン…ッ!」 「あっ、んぁ…っ!あ、ぁ!」 押し入る様に彼のものが中に埋まっていく。 あんなに丁寧に慣らされたというのに、初めてでもないのに、痛みさえ感じそうな位、熱くて苦しい。 背中に思わず爪を立ててしまっても、マルコさんは私の頭を撫で、抱き寄せ背中を撫で、甘やかすみたいに顔中にキスを落とされる。 そんなことをされてしまったら、もう、ぐずぐずになってしまう。 目尻から流れる涙を、彼は容易く、舐めとった。 慣れてきた頃を見計らって、腰の打ち付けが早くなっていき、奥を突かれる度、喉を反らして女が喘ぐ。 女の私。 いけないことなのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない、もう私には、判断すらつかない。 「ゃ、あ…ッ、あ、ぅあ…!」 「ヘレン…っ、ヘレン、」 「マル、コ、さん…!」 「煽るんじゃ、ねぇよい…っ」 隙間がない程抱き締め合い、お互いの声がお互いの耳に入って、気持ちも身体も昂ぶり、限界に近付く。 頭がちかちかして、それを伝える術として、彼の名前を何度も何度も呼べば、彼もまた、私の名前を何度も何度も、呼んでくれる。 「あ、ぁ、だめ、マルコ、もう、だめ…ッ」 「っは、ヘレン…ッ!」 「いく、ぁ、あ、ああ…!」 「く、ぁ…っ」 腰が浮いて、意図せずきつく彼を締め付ければ、同時に彼も詰まった声を上げ、中に欲が溢れていくのがわかった。 私に覆い被さったまま、彼は整わない息で、耳元に唇を寄せる。 そこには愛の言葉とかそう言うものはなく、おかしくなる位、只管に私の名前を繰り返す。 こんなにも。 こんなにも、私は。 私は、彼を。 ← → |