何度、中に出されたんだろうか。
小賢しい、いや、実際に賢いこの男は、何故だか私の生理周期、つまり安全日を知っている。
中に出しても妊娠しない。万が一の可能性があったって医者なんだから、どうにでもしてしまいそうで怖い。

「も、むり…っ、むりぃ…!」
「足りねぇんだよ、」
「や、ぁ、あ、いや、や、」
「…嫌じゃねぇくせに」

それは確かにそうだけど、そういうことじゃなくて。
嫌だと言っても何度もそれが出入りする。
快感とかも麻痺してるはずなのに、身体は馬鹿正直にそれを拾い上げてひっきりなしに嬌声が零れ落ちた。

「ろー…ッ、だめ、ぁ、んッ」
「…っ、ヘレン、」
「や、ぁ、なまえ、や、」
「ヘレン」

呼ばないで欲しい。呼んで欲しいのに、そうされてしまうと、また熱が集まってきてしまう。
腹の奥が疼いて、自然と腰が動く。はしたない、わかってる、止められない。
合わせるようにローも腰を打ち付けてきて、ぎしりぎしりとベッドが音を上げる。

「…い、く、…ッ、ろー、いく、ぁ、あ、」

掻き抱くように背中に手を回して、背中を引っ掻く。タトゥー、あったかな。
どうだったろう。私の爪で消してしまうかもしれない。でも、それでも私の痕だなんて、危ない考えが浮かんで、それからすぐに弾け飛ぶ。

「い、ぁ…ッん、ぁ、ああ…っ!」
「…っく、ぁ、」

ローの腕が、タトゥーが、私の背中に回って、心臓がくっつきそうな程身体が密着した。
中にまた熱が入り込んでくる。脈打つ度に身体が跳ねて、私の首筋に埋まった彼の吐息がくすぐったい。
このままぐっすり寝てしまいたい。だけどこの男が許さない気がする。
こめかみにこめかみを寄せて、そっと、目を閉じた。


安眠妨害


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