▽マニアック注意

悲鳴に近い声を上げて、がくん、と身体がしなる。
熱くなった中。子供が出来たらどうしてくれるの、と問おうにも、そんな元気もないし、そうなってしまったら、私が喜ぶだけだ。

「っ…は、ぁ……」
「…ヘレン」

薄ぼんやりとする視界で、ルッチが私の耳元に唇を寄せる。
低い、脳に響く声。
そんな声を聞いたら、自然とまた、欲がぶり返した。

「ぁ、あ…ッ!」

一度達した身体は自分が思うより余程言うことをきいてくれない。
下半身は未だ繋がったまま、力の抜けた腕を漸く彼の肩に回して、縋るように背中に爪を立てた。

いつも彼はそれを気にする様子もなく、ただ私の顔中にキスを降らせたり、胸元に痕をつける。
今日もそのはず。

だったのに。


「ッや、ちょっと…!」
「…あ?」
「な、なに、してんの…ッ!」


胸の横から移動して、…その、まさか、脇を、舐められるとは思ってなかった。
いやだって、だってちょっと、さすがにさっきまでの運動というかそういう行為で、汗、掻いてるし、ちょっと、やめてほしい、精神的に。

「……静かに喘いでろ」
「や、…ッばか…っ」

静かに喘ぐって、どうしろっていうの。
いやいやそんなことより、いい加減、あの、やめてよ、お願いだから。

「ルッチ…ッ!」
「……」
「ひ、ん…っ、ばか、ばかぁ…!」

もう、くすぐったいやら、恥ずかしいやら、変な感じがして、溜まらず涙がこぼれていく。
器用にもルッチはその涙も舐め取って、そう思ったら、また、繰り返し。

「やだ…ッ、ばか、ぁ、んあ…っ」
「こっちも、忘れんなよ」
「や、ぁッ、も、ゆるして…、」

何に許しを乞いてるのか自分でもわからない。
でも、とにかくやめてほしかった。
それなのに、全然やめてくれないし、それどころかどんどん、腰を打ち付けてきて、もう何が何だか。

「ひ…ッぁ、も、だめ…っあ、あああッ!」
「…っく、…」

また、もう一度あの飛んでいきそうな感覚を覚えて、腹いせに一層強く背中に爪を立ててやった。
血でも出せばいいんだ。

「…っ、ばか、もう、やめてって、言ったのに」
「そう言う割に、いつもより感じてたじゃねぇか」
「ッ最低!」

ぎっと睨み付ければ、ルッチはそれでも、厭らしく笑う。
その笑い方に疼きそうになったなんて、死んでも言うものか。



罵り合言葉


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