中に入って、出て、また入って、繰り返し強く突かれてしまうと、その度に声が出る。 ぽたぽたと滅多に汗をかかない彼のそれが身体に落ちて、それこそ泣いたことがないんじゃないかって程の鉄仮面が涙を流してるみたいで、ちょっと感慨深い。 「……考え事とは余裕だな」 「ッぁ、ちが、んん…っ!」 どっちが余裕なのよ。 こっちは必死なの。 …ああでも、このひとも、汗をかくくらいには、必死でいてくれるのかな。 「変えるぞ」 「なに、…ひゃ!」 一度耳元でそう呟かれたと思ったら、視界からルッチが消えて、見えるのは白いシーツの海。 波打って捩れて、ぐちゃぐちゃの海。 中に入れたままぐるりと反転して、正直今ので指先まで痺れた。 でもそこはあの彼ですから、容赦なんてものはない。そんな時間、与えてくれないのは当たり前。 「っひ、ぁ、や、ふかい…っ!」 「は、こっちのが、締まりがいいな」 「やぁ、あ、そんな、ぁ、!」 後ろに覆いかぶさって、両手首を片方ずつ抑え込まれて、腰だけ上げてる、まさに恥ずかしい格好。 ずぷずぷと、透明な液体が脚を伝ってシーツを濡らした。 「んあッ、ゃ、ルッチ、あ、あ…ッ」 「っく、」 厚い胸板に押しつぶされてしまいそうだ。 それから、彼の吐息を一度遠くに感じたと思ったら、急に、首筋に痛みが走った。 「い…ッ、た、ぁ、なに…っ、?」 「ん」 「ぁ、いた、い、るっち、いたい、…!」 噛み付く、という表現は正しいのだろうけど、その程度じゃない、食われるにきっと近い。 がぶりと首の骨のあたりを噛まれ、がじがじと、獣のようにかぶり付く。 彼の髪が首筋を擽る所為で、余計に痛みが鋭くなった。 「やだ、るっち、いたい、ぁ、あ、う、」 「……ッ、」 「ひっ、ぅあ、あ、んあッ!」 痛い。痛い。 動きは止まってくれない、身体も抑え込まれたままで、首という急所を抑えられて首も振れず、でも散々覚えさせられたそこは、簡単に熱を帯びていく。 やだ、いやだ、痛いの、やめて。 声を上げる度締まってしまう中を、大層彼は気に入ってしまったらしい。 身体が大きくうねって、上げそうになった叫び声をシーツを噛んでどうにか殺す。 すぐ後に中に注ぎ込まれたそれに、本当に獣かと思ってしまった。 「は、…ッぁ、ばか、さいてい、痛かった、」 「うるせェ」 うるさいって何よ。 引き抜かれて抑える力も無くなって、脱力しながら横に倒れてルッチを見上げると。 彼は赤い唇を、ぺろり、と。 舌を出して舐め上げる姿は、悔しい程に、似合っていた。 猟奇的な彼 (……何だ) (………けだもの) (お望み通りにしてやろうか) (もう無理!) |