誕生日くらい、何もすんな。

と、大きな笑い声を上げる親父さんに言われて、マルコは渋々、頷いた。
ああ、これ、隠れて仕事でもしようとしてるな。
マルコの微妙に目を泳がせる癖は長年一緒にいればすぐにわかり、隣で話を聞いていた私はべしりと彼の尻を叩いてやった。
気付いてるのよ、そんな考え。
そんな意味を込めて。



でも。
だからって。

「ッ、ん、ぁ、やだってばぁ…っ!」

遠くの方から砲撃の音や、微かに人の叫び声のようなものが聞こえ、その度に現実に引き戻される。
そう、只今、船はどこかの海賊船と交戦中なのである。


「一日、俺の相手、してくれるんだろい?」


確かに今日くらいは、てことでおやじさんに休みももらったし、ご無沙汰だった営み的なものを一日中して貰ったって私は全然構わない。むしろ嬉しいくらい。

「だから、って…ぇ!」

でもまさか敵船が来るとも思わなかったし、そもそもそれでマルコが一旦止めてくれると思ったのに。

「ひっ…ぁ、やだ、そこ、や…ッ」
「良い、の間違いじゃねェのか」
「あっ、あ、…っまる、こ、」

外で誰かが戦ってる。
味方も敵も、もしかしたら血を流してるかもしれない。
それなのに、私はただ彼に翻弄され喘がされるままで、こんな背徳感。


「イきてェんだろ?」


至近距離で見つめられ、低い声で呟かれて。

正直、堪らない。


「やぁっ、もっと、あ、んん…っ」
「もっと、何だよい」
「っ、もっと、おく、…ッ!」
「は、ここか?」
「ひぅッ、あ、そこ、いいっ…!」

奥まで酷く突かれ、ぞくぞくと腰が震え、身体を欲に支配され、どれが現実か、もう何もかも不明確になった。

「あ、あ、もう、だめ、…ッだめ、ひ、ぁ、ああッ!」

甲高い声が、何かにかき消される。
気がしただけで、実際は私の声なんて、この大きな船の外には絶対に聞こえない。

どくりどくりと体内が躍動する中、彼は変わらず腰を揺らす。

まだ一日はたっぷりある。
どこまでこれが続くのかは、私にはもう、さっぱりわからなかった。


一日中のすべて


(マルコ)
(あ?)
(おめでとう)
(………よい)
(何今更照れてんのよ、ばか)
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10/5 マルコ誕

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