「で?」
「い、いやぁ、その……」

ローの部屋に連れてこられ、閉めたドアが背中に当たる。
笑ってる癖に、目は完全に冷め切っていた。怖い、な。

ただちょっとした好奇心。
昼間、私の前で女の子に腕を組まれて満更でもなさそうにしてたから、私に声を掛けてきた知らない男と少しだけ談笑した。
わざと見せ付ける様に、ではあったけど、ほんとにそれだけ。
でも彼には十分、いや十分すぎるほど効果があったらしい。

「俺の前で堂々と浮気か?」
「そ、んなこと、ないって、ロー一筋だって!」

近付いた顔。怒ってる、これ。
怒ってるというより、嫉妬、かな。
…こんなので嬉しいって思う私は馬鹿なんだろう、たぶん。

「まさかこことか、触らせたりしてねェよな?」
「ッ、そ、そんなわけ、ないでしょ、ばか!」

するりとスカートの中に忍び込んだ手。
ショーツの上をするりとなぞられ、びくん、肩が跳ねた。
身体はさっきより密着し、彼の肩を押しても微動だにしない。

「ちょ、ロー…!」
「………ヘレン」
「……う、うぅ、」

下手な駆け引きなんてするんじゃなかった。
耳元で名前を囁かれ、そのまま首筋に彼の吐息がかかる。
相変わらず指はショーツの上を滑って、それから、太腿との隙間から、中に指が差し込まれてしまった。

「んあっ…!」
「声出すと、外に聞こえるかもなァ?」

そうだ、ここは、扉のすぐ近くで。
慌てて口を閉じようとしたところで、彼の唇が、私の唇を、覆う。
舌が入り込んで、好き勝手口内を蹂躙し、舌を絡めた。

腰がへたれそうになり彼の背中に腕を回す。
いつもは私の腰に回してくれる腕も、今回は意地の悪いことにしか使われていないし、抱き締め返してもくれなくて、縋り付くしか術はなかった。

「っひ、ぁ、やだ、そこ、…!」
「すごいな、音」
「うぁ、や、あ、…んん……っ」

二本の指が、何度も何度も中を出入りして、親指あたりが、触られるだけでぐずぐずになるところを擦り続ける。
正直既に限界だ。もう、くらくらする。

「ろー…っ!ぁ、あ、」
「あ?」
「んっ、ん、きもち、い…ッ!」
「もうあんな奴らと話さないって誓えるよな?」
「っ、ロー、だけ、…っあ、ぅ、ッ」
「いい子だ」

ちゅう、と唇を吸われたと思ったら、こつりと額が合わさって、ちょっとだけ嬉しそうな顔があった。
きゅう、と中を締め付けてしまって恥ずかしくなったけど、ローは逆にそれに気を良くしたのか、更に奥まで指を突き立てる。

「ひぅッ!」
「先に指だけでイっとくか」
「あ、ぁ、やだ、そんなしちゃ、あぅ、!」

ぐちゃぐちゃと激しく指を抜き差しされ、足元まで液体が零れて来るのがわかった。
立ってられなくて脚の力を緩めれば重力で長い指が奥を抉り、我慢して力を込めても動き回る指を感じるだけ。
もうどうにも出来なくて、彼に寄りかかったまま、私は必死に声を上げた。

「あ、ぁ…ッろー、」
「ん?」
「も、…ぁ、いきそ、なの…ッ、いってい、?ぁ、っあ、いき、たい、」
「ああ」
「ッやぁ、あ、はげし、ひぁっ、あ!も、だめ、いく、いく…ッあ、ああ…っ!」

脳内がちかちか弾けるように白んで、どくどくと血流が巡る。

ローは私の中から指を引き抜いて、くらくらして足元の覚束ない私の腰を抱き上げ、部屋の奥にあるベッドに落とした。

「ヘレン」
「……ロー、ちょうだい」
「あァ、勿論、全部やるよ」


偶には嫉妬も


(ほんとは私だって)
(ねぇ、)
(あなたも、誓ってね)

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