姫様の無事を信じ、片倉殿のところへと走る。先に行った佐助が弾のようなものを地面に向かって投げつけた。その弾が弾け緑色の煙が漂う。

「片倉の旦那!毒消しの炸裂弾だ!深く息を吸え!」

佐助の言葉に片倉殿が従う。そうはさせまいと松永が攻め込む。しかし、片倉殿はその攻撃を刀で弾く。
体内の毒が消えた片倉は息をつき、松永を睨みつける。

「貰うぜ松永久秀!ぬばたまの闇に光ひとつ!」

叫んだ片倉殿が松永に突進する。雷の様な青白い光を纏ったそれは松永を吹き飛ばす。

強い力で吹き飛ばされた松永は大仏に貼り付けられ、薄く笑う。片倉殿が松永の方へ歩いていく。


片倉殿の投げかける言葉に松永はかわいた声で笑いながら返答していた。

「…涅槃まで抱いてゆける宝などありはしない。」

「心配ねぇ。てめぇが行くのは地獄だ。先に行って待ってな」

「心得た。しばしの別れだ、竜の右目!」

松永が言い終わるのと同時に大仏殿が再び爆発した。爆風が起こり咄嗟に腕で顔を隠す。

爆風が収まり腕を退けると大仏殿は炎と煙に包まれていた。
その光景を見て刀をおさめる片倉殿の側に寄る。
ゆらゆらと揺れる炎を見ながら片倉殿は口を開く。

「…恩に着るぜ。すまなかったな、大事な武田の姫まで巻き込んで。」

「いや、姫を奪われたのはこちらの責任でござる。先程の松永の言葉で姫は無事だとわかっております故…。それよりも、さぞ無念であったかと…」

「面目ない、俺様も自分の身を護るだけで…」

姫様はご無事である可能性が高い。しかし伊達の兵達は二度も爆発に巻き込まれたのだ、命を落としていてもおかしくはない。

もう一度、揺らめく炎を見つめる。

「…!」

炎の中に人影が見えた。その影はひとつからみっつに分裂した。

「あれは…」

「片倉の旦那!」

某達は反射的に身構える。みっつの人影はこちらへと近づいてくる。

「まーつーなーがー!」

「…!」

炎の中から現れたのは、先程の二度の爆発に巻き込まれた伊達の兵達だった。ボロボロになりながらも伊達殿の刀は渡さないなどと叫んでいた。
あれほどの爆発に巻き込まれながらも、「伊達軍は誰ひとり欠けてはならない」という伊達殿達の言葉を守り生き抜いたのだ。

三人の無事を喜ぶ片倉殿の声を聞いて、佐助が俺の肩を叩いた。

「旦那、ここは俺様に任せて旦那は姫様を。俺様もすぐ行くからさ。」

「あ、ああ!わかった!」

佐助の言葉に従い、某は姫様を探すため燃え盛る大仏殿の裏へと走り出した。


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