そして僕は灰になった
「せんせ、」
「うっ、ちょ…っと待て。お前これ、どういう…」
ガタンと組み敷いたのはオレの方。先生が、のこのこオレの部屋なんかに来るのが悪いんだ。
こんな時間に、ベストや額当ても外して。無防備にもほどがある。
嫌がりながらも、ここまで熱い息を吐いていたくせに。白い肌を晒して、オレの指先や唇に、感じていたくせに。
「や、めろ。ナルト」
「…やめねぇ」
「お前ね、黙ってりゃやりたい放題しやがって…」
「先生だって嫌じゃねぇんだろ?」
「ふざけるな、どけ。場合に寄っちゃ…っ、じ、術かけるよ」
「やってみろってばよ。そんなことやれるほど余裕ねぇみたいだけ、ど!」
「うっ、ああ…!」
ずるりと、無理にでも押し込んだオレ自身を、すっぽりと根元まで飲み込んだ。ヒクヒクと震える入り口は、あんな悪態をついていたとは思えないくらいオレを煽ってくる。
少し強めに突き動かして、先生の悲鳴のような声を聞いて、快感に浸って。
涙や白濁でぐちゃぐちゃになった先生を見て、そうもっと。
壊れてしまえばいい。
オレの与えた刺激で、壊れてしまえばいいんだ。
「…ルト」
「…ナルト!」
「ナルト!」
気がつけばそこには広がった空。
草の匂いが充満した原っぱの草がカサカサとくすぐった。
「うっ…わ!カカシ先生?!」
まだ夢?なのか?
未だに混乱しつつ、順を追って考えていれば、考えがたどり着く前に先生が口を開いた。
「お前今日任務終わったんでしょ、こんな所で寝てないで家で寝たら?」
そう言われ漸くさっきの生々しい行為が夢だと分かった。
呆然としてるオレを心配そうにカカシ先生が覗く。
「あー、夢…夢かぁ」
「ん?どうした?」
「…いや!何でもないってばよ!」
…良かった、と安堵したのは。
夢の中のオレは、半ば無理やり先生を抱いていたから。
大好きな人の痛がる涙で、欲情していたから。
そんなの絶対、許されないってば。
ふー、と深呼吸をしながら伸びをして。
じゃあ家に帰るってばよ、と先生に言う。
夢だとしても、ごめんなさいという気持ちが溢れてきた。
でも先生は、なんにも知らないで。
「あー…、お前、随分うなされてたけど大丈夫?」
なんて、優しい言葉をかけるから。
「…大丈夫だってばよ!死ぬほど団子食った夢見ただけだってば」
何かをぐっと耐えていつも通り笑ってみせる。
そうか、と安心したように微笑む先生を見て、込み上げてくる思いをまたもやぐっと堪えてそこをあとにした。
優しくされると気付いてしまう。言いたくなる。
…本当は、死ぬほど欲情してたんだってばよ。
ぐちゃぐちゃにして、壊してしまえばいいと。
許されないと思いながら、自分に怒りを覚えながらも。
だけどまさにあの夢が、今のオレの願望だった。
そして僕は灰になった
だけどやっぱり好きだから、大切だから。
燃える欲情は、無理やり消火。
end.