「じゃ、適当にネ。ただし当番だけはサボらないように」


初めて出会ったのは、4月。
二年に上がって一番最初の委員会。

やる気のなさそうに委員会を取り仕切る担当の先生は4月から新任してきたらしい。いつもマスクで口元を覆っていて、手にはいつも小さな文庫本。
気だるそうな猫背とは裏腹に、瞳は凛と鋭くて、だけど時折くっきりと綺麗な弓なりの形を描く。

今考えれば、こんな風にじっくり見ていたあたしはその瞬間からこの人に惹かれていたんだと思う。

この時はまだ、なんにも気付いてはいなかった。
目で追っていたことも。その、理由も。



(まだ何も知らない)



end.


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