*ちびなると
「どーしたの?」
「ああ、あれ?しっらなーい!」
ピンク色のきれいな髪を揺らしながらなんだか膨れっ面のサクラ。そのうち向こう側に見えたサスケくん目掛けて走っていった。
反対側で体育座りをしてうつむいている金髪の男の子。
またかあ、って思いながら何があったのか近くにいたヒナタに聞いてみた。
「あ、あのね…」
ちっちゃな声で話し出したヒナタによると、今日誕生日のナルトがサクラに誕生日だということをアピール。それで?と流されてサスケくんがどこにいったのか聞いたサクラ。悔しいナルトはサスケくんの悪口。よってサクラに殴られる。
あ、そう言われればなんだかコブみたいに腫れてるかも…。
いつもの光景にはあ、っとため息がでた。
ありがとうってヒナタに言って、その体育座りをしている背中に近付いていく。
肩が少しだけ震えているのが分かった。
「ナルトー。泣いてるの?」
「泣いてねぇってばよ」
「泣いてるじゃん」
「泣いてねぇって言ってんだろ!」
「もうっ!男なんだから泣くなっての!」
「だってオレってばサクラちゃんにおめでとうって言ってもらいたかったんだってばよ!それなのにサクラちゃん、サスケのことばっかり…」
「いつものことでしょ、いちいち泣かないのー」
「うるせえ!ほっといてくれってば!」
ごしごしと目元をぬぐってもどんどん溢れてくる涙。サクラにうざがられて殴られればすーぐ泣いちゃう泣き虫ナルト。
いつも慰めてあげてるっていうのにこの態度。
あたしがどうして慰めてあげてるのか、どうして放っておけないのか。
ナルトは全然、ぜーんぜん分かっていない。分かろうともしない。
だってナルトはサクラしか見ていないから。
あたしなんか見ていないから。
バカナルト。
泣きたいのはこっちだよ。
ナルトの背中を擦っていたら目の前のオレンジがだんだん滲んでいくのが分かる。
それでもナルトはあたしを見ないから。
「う…わあああああん!!」
「な!おま、どうしたんだってばよ!なんで泣いてんだってばよ!?」
「ナルトのばかああああ!!」
「え?!オレ?!」
涙はとまったものの赤い目をして慌ててるナルト。
やっとあたしを見てくれた。
ボタボタと流れ落ちていく涙と一緒に、この気持ちを伝えることが出来たらいのに。
大きな声で泣かないと見てくれないナルトが。
あたしはどうしてこんなに好きになっちゃったんだろう。
おそろいのなみだ
いつかあたしのために泣いてくれる?
end.
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