「デイダラ」
「なんだよ」
「デイくーん」
「なんだっつーんだよ、うん」
「こっち向いてよ」
「向いてんだろ」
「向いてないでしょ」
「向いてるっつーの」
「目、どこ向いてんの」
「………」
「こっち向いてってばぁ」
「だーッ!触んなよ!」
「…触っちゃだめなの?」
「あ〜?」
「触っちゃだめなの?って言ってんの!」
「な!何いきなり怒ってんだよ、うん」
「…知らない」
「は?」
「デイダラなんかもう知らない!」
「ちょ、なんだよいきなり」
「…………」
「おい」
「…………」
「なぁ!」
「…………」
「こっち見ろよ、うん」
「…………」
「おーい」
「………なによ」
「怒ったのか?」
「怒ってない」
「じゃあこっち見ろって、うん」
「さっきはデイダラが目逸らしてたくせに」
「あー…だってあれは…」
「あれは?」
「…………」
「…なによ、顔赤くしちゃって」
「うるせえなぁ」
「な、なんで近付いてくるの!」
「うるせえっつーの、うん」




ぶわり。学校の屋上は、どこよりも風が吹いて。だけどどこにいるよりも、寒さを感じなかった。むしろ、ほんわかと温かさまで感じる。
最初っから、そうしてほしかったなんて言えるわけがなくて。かと言って、デイダラも強引にする方じゃないから。

あたしたちはいつも遠回り。


「デイ」
「あ?」
「あったかい」
「あたりめーだろ、うん」

いつもいつも、遠回り。
だけどたどり着くところは絶対に変わらない。

…変わってたまるか。


「デーイ」
「おう」
「このまま午後もサボリ決定?」
「ま、そうなるな。うん」

見つめ合った先には、デイダラの照れくさそうに笑った顔と、そのくりっとした大きな瞳に映った嬉しそうなあたし。

背中に回した手をどうかずっと離さないで。

なんて言ったら、調子に乗るから言ってやんないけど。


「んっ!」
「うおっ」

ぶつかるように唇を押し付けて、耳まで赤いデイダラの顔に大笑いしながら、あたしは今日も胸いっぱいにデイダラの匂いを吸い込んで。


「ふふふ」
「なに笑ってんだよ」
「べっつにー」

あたしの、大好きな存在。


君の腕の中でだけ幸せになれるのです



end.



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