うららかな春の日差しを受けていると、なんだかいつも眠くなる。

そのあたたかい日差しのせいなのか、それとも…。




「サイ?眠いの?」

机に突っ伏した頭の上から、ひだまりみたいな優しい声がした。
頭をあげなくても分かる。それほどいつも、その声には癒されていて。


「うん、なんだか最近眠くてね」

見上げた先に、予想通りの人物。
くりんと上がった睫をふさりと揺らして不思議そうにボクを見つめるのはクラスメートのなまえ。ボクの前の席のなまえは、よくこうやって後ろを向いて話しかけてくれる。
はじっこの窓側。
ましてやあまり友達のいないボクは、いつも休み時間も一人だけど。

「夜更かししてるんじゃないの?」
「うん…そうでもないんだけど。日差しが気持ち良くて」
「あー分かる!あったかいと眠くなるよね」

いつもにっこり話しかけてくれるから。
いつしかそうやって話しかけてくれることを楽しみにしている自分がいることに気付いた。

なんだかんだ、訳もなく話し掛けてくるミーハーな別のクラスの女子たちとは違う。
なまえに話し掛けられるとなんだかとてもホッとする。
どうしてか、ホッとする中にドキリと鼓動が波打つ時もあって。

例えば今もそう。
ふいに目をこすりながらあくびをしていると。


「…なに?なまえ」
「こうすると余計眠くならない?チャイムなったら起こすから寝てもいいよ」


そう言って、その細い指でボクの髪を優しく撫でた。ドキリと波打つ鼓動は次第に心地良いものに変化する。
優しく髪を撫でられながら、まどろみの中に落ちていくボクは。

なまえがどうか夢に出てきてくれないかと願わずにはいられない。だって最近の寝不足の理由は、キミのせいだから。







柔らかい黒髪はあたしが一番好きな感触。

ハヤクキヅイテ。

心の中で唱えて、指先に願いを込める。

あたしの目の前で無防備に眠るあなたが、好き。



end.





▽サイ/ほの甘/学パロ
という設定でした!
大変遅れてしまいすみません(´;ω;`)サイで学パロという設定はあたし的にも一番大好きな設定なので楽しめました^^*
素敵なリクエスト、ありがとうございました☆








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