任務は久しぶりに休みだった。二人揃って休み、なんて珍しい。そのわけはお互い傷だらけだったから、というそんな安易な理由。

「ぐあー、昨日のあのハードな任務が嘘みてぇだってばよ」

木の葉の森の草原で、横たわる男二人。気味が悪いと言われるのは分かっているから人気のないこの場所で、ナルトと二人きりでいるのは俺にとっては心地良い。
太陽の光をモロに浴びて、隣りに寝転ぶナルトが体を伸ばしながらそう言った。

「昨日はちょっとキツかったな」

節々の痛さに歳だからかなぁ、なんて苦笑いをしたけれどにししと歯を出して笑ったナルトがオレもだってばよ、と言ったから少し安心した。

「お前はもう傷口癒えてていいよね、羨ましいよ」
「あー、まぁ九尾のおかげだと思うといい気はしねえってば」

そよそよとそよぐ風。金色の髪が揺れている。
碧い瞳が遠くを眺めていて、何気なく言ってしまった言葉を後悔した。
九尾の力を借りたくない、と誰よりも思っているナルトに羨ましいだなんて。

ふとナルトを見やる。
それでもナルトは笑ってくれた。


「カカシ先生は歳なだけなんじゃねえのー」
「へえ、そういうこと言っていいんだぁ」
「じょ、冗談に決まってんだろ!いちいち雷っぽいの出さねえでくれってばよ!」
「ははは、これこそ冗談だよ。お前にコレを食らわすわけないでしょ」


そんなことをしたら、死んでも悔やみ切れないよ。

そう言ったら、ナルトは赤い顔をして俺から瞳を逸らしたから。
その仕草が可愛くてもっともっと、いじめたくなる。


「この雷切は今はお前を守るためにあるんだよ」
「わ、分かったってば!そんな恥ずかしいこと面と向かって言わないでくれってばよ」
「どうして?本当のことなのに。絶対、守るよ。俺がこの手で。お前をね」


とうとう恥ずかしさに埋もれたナルトはふいっと俺に背を向けた。
俺はといえば、そんなナルトを見て頬が緩む。

だけど、いじめようとして言った言葉は、案外大真面目で。
もちろん敵にやられそうになったって、あるいは、ナルトの中にいる尾獣にナルト自身が負けてしまいそうになった時でも。

絶対に守り抜いてみせる。

それは、教え子だからとか四代目の息子だからとか言う理由とは少しだけ踏み外した、不純な動機だけれども。


「ナルト、こっち見てよ」
「やだ!カカシ先生恥ずかしいことばっか言うってばよ」


このかげかえのない愛おしい感情は、お前にしかないから。
ナルトの瞳と同じ色の空の下、誓うように隣りにいるナルトの肩口に、そっと触れた。



(守りたいのは君ひとり、もう孤独へ突き放さないで)



触れた瞬間、ピクリと揺れる体。

「こっち見ないなら、そのままでいいよ」

言いながらその金色に潜む耳元で囁くんだ。

「ナルト、」

お前はまた照れてしまうかもしれないけれど。

「…好きだよ」

ずっとお前の隣りにいるよ、とそんな誓いの言葉と愛の言葉を。




end.


▽BL/カカナル/忍設定でほのぼの
という設定でした!
仙人モードを会得する前のナルト、怒り出すと抑えられず九尾化してしまう頃のナルトという勝手な設定ですみません(i∀i)
素敵なリクエストありがとうございました☆



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