*学パロ



今日って多分オレ的に、運気は良好でなんでもうまく行く気がする!

そうシカマルに言ったら馬鹿じゃねえの、っていつもの調子で言われてしまった。
なんでだよって言い返したら、クリスマスではしゃいでるだけだろ、なんて的を得た答えが返ってきた。

ああ、まあこう言っちゃあなんだが間違っちゃいねえ。

クリスマスのあの音色とかイルミとか見ちゃったらなんだかはしゃいじゃうしよ。
ていうか、こういう行事的なもんのときほど成功すんじゃねえの?


「なあ、そう思わねえ?」

「うんうん!オレもそう思うってばよ!キバ、ついに告白すんのか?!」

「しちまおうかな!ここらでドカンとよ!今日のパーティーんときにでも!!」

「おおお!!頑張れってばよ!応援してんぜーキバ!」

「おう!サンキューなナルト!お前は優しいぜ、シカちんと違って!」

「…うるせえなあ」


とか言いつつ、「あいつ今日日直だから遅れてくんじゃねえか」とか教えてくれた彼女の情報。
なんだかんだで心配してくれてるだこいつは。
なのにサンキューって肩組めば、いのにたまたま聞いたんだとかなんとか。ホントにシカちゃんて素直じゃない。


そんなこいつらの激励にちゃんと応えてやらなきゃなんねえぜ!
…ってことで、放課後当番の彼女をこっそり校門で待ってみる。


やべえ、なんか、ちょっと緊張してきた。


今日はサクラんちにみんな集まってクリスマスパーティー。もちろん彼女も来るはずだからこうして待っているんだが。
よく考えてみれば…パーティーの前に告白ってどうなんだ?
もし万が一…まぁそんなことはないとは思うが本当に万が一。
振られでもしたら………。
やべ、パーティー気不味いじゃねえか!

うわああどうするよ、なんて考えていたら突然肩を叩かれた。


「キバくん?」


振り向けば鼓動がドクンと鳴った。
小首を傾げてオレの名前を呼んだ彼女がそこにいて。
彼女を見た瞬間さっきのモヤモヤは吹っ飛んで、やっぱり今日告ってやる!!と心の中で決意した。

「誰か待ってるの?」

「い、いや!ちょっと先生に用があってよ。今終わったんだ」

「そうなんだ。じゃあサクラんちに一緒に行こ?」


思ってもみない彼女からの誘いによっしゃー!と飛び上がったのはもちろん心の中で。本当は、おう!としか言えなかった。
どんだけ緊張してんだよ、と思いながら頭を掻いて。
ふと彼女の視線に気付いてそっちを見れば、ん?と微笑んだ彼女。

…顔、赤くなってねえかオレ!

ドクドクと鳴り響く鼓動を落ち着かせていた時、ちらりと見えた彼女の荷物。


「なんか今日荷物多くねえか?」


あわよくば持ってあげようと手を伸ばそうとすれば、彼女はあっ!と何故か焦ったように言った。

「こ、これね!プレゼントなの」


えへへ、と顔を赤くして大事そうにその荷物を持った彼女を見て無意識に伸ばした手を引っ込めた。

そんな大事そうなプレゼント、誰にやるんだよ。

なんて。聞けるわけねえ。


「…そうか!喜べばいいな!」


相変わらず情けねえ。
さっきまでの意気込みはどこに行ったんだよ。
だけど、誰かのために彼女によって用意されたプレゼントなんて見てしまったら…なんかな。

はぁ、とため息を吐こうとした瞬間に。
誰かがオレの手を掴んだ感触がして。その手はとても冷たかったけど小さくてなんだかまた鼓動がうるさいくらい動いていく。
紛れもない、彼女の手だった。


「なに…」

「喜んでくれるかな?」

「え?」

「キバくん、喜んでくれる?」


…プレゼント。
そう言った彼女の頬が瞬く間に赤く染まっていく。オレは思考が一旦停止。

オレにプレゼントオレにプレゼントオレにプレゼント…


「まっ、マジ?!」


思考がやっと結びついたオレはそれしか言えず、だけどそんなオレにこくりと頷いて微笑んだ彼女。

…喜ぶってもんじゃねえ。っていうかそれ以前にオレは…。


「お、オレプレゼント用意してねえ…!」

最低だオレ!何やってんだよオレ!


言わなきゃならねえことはまだあるのにそんなことしか言えないほど頭が回らない。
バカみたいに悪ィ!とか謝っていたオレに彼女はクスクスと笑った。
だけどすぐに意を決したようなまっすぐな視線が飛び込んできて。
それはそれは、もう彼女から目が離せないほど。




「プレゼントはいらないよ。あたし、キバくんが欲しい」







結局後から聞いた話。
彼女が好きな奴がいるといのに相談していたらしく、いのとシカマルの連携プレイで放課後二人きりにさせたらしい。
そんなことは全く知らないオレは、彼女からの突然の告白に心底驚いて。だけどやっぱりありえねえほど嬉しくて。
握られた手はそのまま、意気揚々とサクラんちへ。
そんなオレたちを見てうおお!と叫びながら喜んでくれたナルト。
やっぱクリスマスっていいな!なんて言ったら、馬鹿じゃねえのって呆れながらも笑ってくれたシカマルがいた。





(振り向けば隣で彼女が赤い顔して笑っている。
それだけで世界はガラリと変わったように煌びやかだ。)





end.



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