これのつづき





いつも笑ってるやつが、
いつも気が強いやつが、

ボロボロボロボロ
泣いている。

なんだか妙に胸が痛い。




「うわあああん!!」
「ちょ、なんでお前が泣いてるんだってばよ!」

突然泣き出したもんだからどうしていいか分からなかった。
むしろ泣きたいのはこっちで(実際さっきまで泣いてたし)、サクラちゃんのパンチはすげえ痛えし…ってあれ?あんなに痛かったのに忘れてた。だってこいつがこんなに泣くもんだから。

一体どうしたんだろう?
確かオレを励ましていたはずなのに。ほっとけとか言ったけど、本当は背中を擦るこいつの手はあったかくて気持ちよかった(たぶんあと二分後には寝れた)。

だけど突然泣き出した。
しかもうわあああん!!って。こんなに声を出して泣いたことあったかなぁ?
おまけにナルトのバカって言われたし。意味がわからない。


「なー、どうしたんだってばよ〜」
「うっ、ひっく…うぇ…」


まったく泣き止む気配なし。
どんどん溜まっていた涙がまたぼろりと落ちた。

なんかなあ、なんっつーか。
こいつが泣いてるなんて初めてくらいの出来事だから知らなかったけど、なんだか胸がもやもやする。
下手するとずきりと痛みも走る。
………なんでなのか、わかんねえけど。


「あーもう!泣くなってば!」


な!と言いながら袖でこいつの顔を涙を拭き取るように拭う。
あ、やべ。さっき修行してきたから汚ねえかも。
ま、こいつだからい……っか…ってあれ?


「…………」
「…………」


拭い上げた隙間から少しずつ見えたのは涙で潤んだこいつの瞳。
目尻を真っ赤にして睨むようにオレを見ているその瞳に、オレってば。


「お、おまえ…」
「………痛いよ、ナルト」


オレってばなんで。
なんで、こんなに、ドキドキしてるんだってばよ。


「もう、ナルト。そんな泥だらけの服で拭わないで!」
「う、うるせー!おまえがわんわん泣くからだろ!」


泣くなと押さえつけるためにこいつの肩を掴んだ手に、いきなり意識が集中する。
掴んだままでいいのか?
いや別に普通じゃん。いつも通りじゃん。

突然フル回転した頭のなか。
離してしまえばいいのに離せないでいるこいつに触れた手。
ドキドキと鳴り止まない、心臓のおと。

(お、オレはサクラちゃんが…!)

「そっか、ごめん。泣いたりして。だってさー、ナルトが泣いてるから…」



(…サクラちゃんが好きなはずなのに。)



俯きながら言うこいつの耳が見たことないくらい赤くて。


「泣かないでよナルト。笑ってるナルトが、…す、すきなの」


ごちゃごちゃな頭のなかが一瞬にして停止してしまった。



躊躇う



このまま引き寄せて、ぎゅっとしてもいいってば?



end.














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