待ち合わせの時刻はもう10分も過ぎていた。
あたしなんて昨日の夜から眠れなくて何着て行こう?だとか会ったらなんて言おう?だとか考えて考えて考えて。

今日もいつもより早く起きておしゃれして。
そういえば、卵焼き好きって言ってくれたよなぁって思い出して、お弁当も作ってみた。

本当に本当に、ナルトに会うのは久しぶりで。
何も言わずに修行だなんていつものことだから仕方がないけれど、本当はナルトが旅立ってからいっぱいいっぱい泣いたんだ。

だけど今日会えるんだ。
街でデートして公園でお弁当を食べて一日中ずっと一緒。
あたしは楽しみで仕方がなくて。

この服変じゃないかなぁって今さら思っちゃうけどやっぱり気になるのは時計。
20分経った。ナルトはまだ来ない。

「さむい…」

ひゅっと冬らしい風があたしの体全体を身震いさせた。
早くあっためてよ、ナルト。
思えば思うほどナルトが恋しくなるのにいまだに現れない。

30分、40分。

今日は帰ろうかな…。

俯いておしゃれをした自分にため息を吐いて。
来た道を引き返そうとしたときに。


「わりぃ!遅れた!」


あたしの腕をぎゅっと握って。振り向いた先にはきらきらの金髪に似合う笑った顔。
本当は怒って泣いてやろうと思ったけれど、あたしに触れたナルトの手がすごくあったかくて…本当にずるい。

「冷てぇ!ごめんな!待たせちまって」

そう言って今度は両手を温めて。
ツンツンにあちこちに跳ねた髪と走ってきたのか赤く染まった鼻。
そのあったかい手でぎゅっと握られてしまったら。

「全然平気、待ってないよ」

なんて。またナルトを甘やかしてしまうけど。
それでもいい。この手があたしを掴んでくれるなら。

「会いたかったよ!ナルト!」

にっこり笑えば、ナルトは頬を染めてやっぱりにっこり笑ってくれた。
ぎゅっと握った手はそのまま。

今日は一日、離さないでね。

待っていた分の愛しさを伝えるように。



待つ

end.




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