「―‥まずは、近場でここね」

リーシャへの誕生日プレゼント、彼女好みの下着 選び。
最初に足を運んだ一軒目には、夜想道沿いの正統派量販店を選んだ。

「ここはセントラルの中で一番大きな専門店なの。
 他のお店で見つからない場合にはここに探しに来るお客さんも多いみたいだから、ここなら大抵のものは揃ってるはずですよ」

お店の扉を開けると、柔らかなストリング・インストゥルメンタルが流れてくる。

「‥弦楽ですか。
 やはり、女性ものの専門店だけのことはあります。
 優美ですね」

私の後に続いて入ってきたゴーシュさんが、閉まりかけた扉を手に感心したような随想を述べる。
その姿に、照れや躊躇いは微塵もなかった。


 ゴーシュさん、たじろぎさえしない。
 さすがだわ。


ならば、何も憂うことは無い。
私はお店の中をざっと見回して幾つかリーシャの好きそうなデザインのある場所の目星をつけ、ゴーシュさんと並んで見て歩く事にした。
このお店は シンプル・フェミニン・セクシー のように、商品デザインの大まかなテイストごとにコーナーが分けられている。
更にそのコーナー内で各種サイズ分け、部類分けがされていて、お客さんの要望に見合ったものが探しやすくなっているのよね。

「えっと。
 リーシャの好みだと、ここ とか あそこ、そっち とかね。
 あの娘のサイズはご存知?」

「ええ、一応は」

「ふふっ。
 お聞きするまでもありませんでしたね。
 ‥じゃあ、デザインよね」

ゴーシュさんに話し掛けながら段重ねにブラジャーの掛けられた棚のあちこちに手を伸ばす。

「‥‥こんな感じ、でしょうか」

ふと、彼が一つの下着を手に取った。
ピンクと水色のドット柄を、生地独特のサテン光が可愛らしく演出を添えているセットものの下着だった。

「んー‥そうね。
 柄的には、それもいいんだけど‥‥」

「‥違いますか?」

「あの娘、下着は肌触りとかこだわるから。
 柄より、そっち優先かな。
 ‥これだと、少し気にするかもしれませんね」

ハンガーに組まれているパンティーを外し、手触りを確認しながら話す。
化学繊維独特のしゃわしゃわとした感触に、リーシャのむず痒そうな表情が浮かんだ。

「肌触り‥‥。
 そうなんですか。知りませんでした。
 ‥やはり、あなたに頼んで正解ですね」

「え?」

納得さと心服さを伺わせるゴーシュさんの声に振り向けば、彼は優しい瞳で微笑みをくれた。

「ただ似合う柄、好みのデザインを選ぶだけならば他の人でもできますけど‥
 リーシャのこだわりまでは、親しい人でなければ解らないですからね。
 本当にありがとうございます、リリィ」


 ゴーシュさん‥‥


「‥‥お役に立てて、良かった」

彼の優しい笑顔、柔らかな想いに、私も自然と微笑みが零れる。
‥ゴーシュさん。
私も、今日はあなたとご一緒して“正解”かな って思います―‥。

*****☆*****☆*****

噂話と、下着選び。
優しい反面、何処か いぢわる な部分があるゴーシュくんですね(笑)

さて、現在・カフェに現れた 声の主 は誰なんでしょうねっ(*ノノ)

まだ続きますよっ☆

Mon.26 Sep.2011
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