今朝の集荷確認に、新規配達の依頼は配当されていなかった。
故に、今日の配達はエクシオの街 三地区と五地区のみ。

「昨日と二分割されたとはいえ‥一日の配達がこんな少ないと、楽勝過ぎて嫌になるわね」

夕方の、いつも戻る時刻よりも早い時間に郵便館へと戻る。
帰還報告を終え、帰宅しようとホールへと向かうと―‥

「‥‥ん? リーシャ‥‥?
 あれ、下にいるのゴーシュさんじゃ―‥‥え?」

昨日の私と同じ、役者‥‥
もう一つの芝居 を、見てしまった。


  『 あ、ゴーシュ‥‥。

    ‥‥え‥‥何、で‥‥? 』


リーシャの小さな呟き声。
‥‥そのまま、彼女はふらふらとしながら階段を降り郵便館から出て行った。

「‥‥‥。」

‥見た。
見て、しまった。

ゴーシュさんが、リーシャを無視した―‥。


「‥‥‥見たわよ、ゴーシュさん」


階段を上ってきたゴーシュさんに、声を掛ける。

「‥‥リリィ」

私に気付いて、バツの悪そうに微笑んだ。

「見られてしまいましたか」

「ええ、ばっちり。
 思い切りましたね。びっくりしました」

「まあ‥そうですね。
 リーシャへのお返しにと思いまして。
 今日一日、考えた結果です」

「‥‥ふふ。
 結構、いぢわる なんですね」

「嫌だな、今更そんなこと言います?」

「ごめんなさい。
 でも‥‥ふふっ」

‥なんだか、意外な一面を見た気がして。

「そんなに笑わないでください。
 リリィも人が悪いですよ」

頬を掻きながら、照れ笑いをするゴーシュさん。

「ゴーシュさん、お仕事 まだ残ってます?」

「いえ。 野暮用で館長室に寄るだけで、今日はもう帰るところですが〜
 何かありました?」

「特に何かあるわけじゃないですけど、よければ一緒に帰りません?」

「そうですね。ご一緒しましょうか」

「はい♪
 じゃあ、出入口で待ってますね」

「解りました」

また後で、と手を振れば 微笑んで手を振り返す。
ゴーシュさんと一緒に帰るのなんて、いつ振りかな。
お時間 許すなら、お茶していっても良いかもしれないわね‥‥なんて、ね‥♪

*****☆*****☆*****

dupery、相方側の話で笑い合っていたリリィ&ゴーシュのストーリーです。
当初は予定してなかった一幕なんですが、相方側の話でリリィを出してきていたので付け加えて書いてみました。
以後もしばらく、Sideリリィのお話が続きます。

多少ネタバレや伏線も含みましたが、今回も補足は特に無い‥かな?

Sun.12.Jun.2011
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