次の日の朝。
予定通り集荷確認をし、セントラルを出ようと郵便館のホールを歩いていた。
昨日とは打って変わって、今日の私は心楽しく少しばかりうきうきとして。

「おはようございます、リリィ」

「‥あ、ゴーシュさん。
 おはようございます♪」

正面からゴーシュさんに声を掛けられ、足が止まる。
そのまま暫く立ち話になった。

「ゴーシュさん、これから集荷ですか?」

「ええ。
 昨日の配達分で受け取り拒否があったので、それの処理と新規分の集荷に。
 ‥手は、大丈夫ですか?」

「あ、はい。
 ありがとうございます。
 ちゃんと手当てしましたので‥ご心配お掛けしてすみません。
 それと‥‥」

先日の自分の行動・言動を思い返し、ゴーシュさんに頭を下げた。

「‥昨日は酷いこと言って、ごめんなさい」

「いえ、昨日の事は僕が悪い節も多々ありましたし。
 リリィも、そんなに気にしないでください」

「‥すみません」

重ねて謝罪をすると、笑いながら答える。

「ですから、気にしないでください って。
 ‥機嫌、直ったみたいですね」

「あ、はい。
 みっともない所、見せちゃいましたね。
 忘れてください、恥ずかしいから‥」


「 ‥ジギー・ペッパーのおかげ、ですか? 」


「え‥」

「いえ‥
 昨日あれだけ派手に荒れていた貴女が、今朝にはもう いつものにこやかで可愛らしいリリィ に戻っている。
 ジギー・ペッパーが何かしたのかな、と思いまして。
 昨日帰ってきたばかりだったみたいですし、昨夜は貴女の家に訪ねて行ったのでしょう? 彼は。」

からかうように言われ、つい顔が火照ってしまう。
‥‥ゴーシュさん、何気に ジギーの事 結構把握してるわ。。

「‥‥バレバレですね」

「ええ、バレバレです」

「‥ぷっ」

「ふふ」

思わず吹き出してしまう。
釣られてゴーシュさんも微笑んだ。

「もうセントラルから発っちゃいましたけど‥ね。
 明日の朝からまた配達に行くから って、顔を見に来てくれたの。
 ‥ジギーまで、ひっぱたいちゃいました」

「それはまた‥‥。
 喧嘩、したんですか?」

「喧嘩というか、私が勝手に暴れてただけ。
 ジギーはわざと叩かれたの。私を落ち着ける為に。
 思いっきり張り倒したから、怪我させちゃって‥」

「‥‥‥身体 張ってますね、彼も」

「もう、ゴーシュさんてば」

感心するようにゴーシュさんが呟き、それに対しての照れ隠しを向けた時。
私たちの横を、不自然なくらいに深々と制帽を被ったBEEが通り過ぎていった。
それがリーシャだと気付いた頃には、もう私たちに彼女の姿は見えなかった。


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -