セントラル内の配達を終え、シナーズに心弾武器の発注書を置いてから郵便館に戻る。
館長室へと報告に行けば、のほほんとした顔の部屋主が私の激針を呼び戻してくれる。
なんと、今日は 泊まりで残業 だという話。


「‥‥20刻過ぎたら帰社されて会えなくなると思って、慌てて帰ってきたのに‥!
 そういう事は先に言っておいてください!!」


怒声を響かせながら、ゴーベーニさんから発注書と交換に預かった 控え書 を館長デスクに叩き付けた。

「それは、僕に会いたくて早々と戻ってきてくれた ってことかな?
 そんなに恋焦がれてくれるなんて、ね。
 嬉しいよ。リリィくん」

「‥‥‥‥誰が、誰に恋焦がれるですって?」

「ははは。冗談だよ、冗談。
 そんなマジに怒らないで。
 可愛い顔が台無しだよ?」

「誰のせいですか、誰の!!!
 まったく もう!
 セントラル優先したのが馬鹿みたいじゃないですか!
 ユウサリ西部の配達もあるのに‥っ
 館長がお泊まりだって解ってたら先にそっち行ってたわよ!!」

「ユウサリ西部‥?」

「エクシオの街です! 三地区束と五地区バラ!!!
 シナーズ寄ってからエクシオに行ってれば、明日の朝 館長が帰宅されるまでには余裕で帰還報告できたのにっっ」

ぷりぷりしながら声を荒げていると、館長は訝しげな顔をする。

「ちょっと リリィくん、そのプランは―‥」


「一日で配り終わったはずが無駄に配達日数先伸ばしになったじゃないですか!」


「一日って‥‥。
 いや、その、少し無謀過ぎやしないかい?
 エクシオは男の足でも片道二時間は―‥」

「セントラルとエクシオの合同配達は私の担当にはよくある配当です!
 今日は配達に出るのが遅くなった分、後が詰まっただけ。
 徹夜で歩かずに野宿で済む分、まだまともだと思いますが?」

「徹夜に野宿‥。
 また いただけない話だね、それ」

「BEEである以上 野宿も徹夜も特別変わったことではないでしょう」

「‥‥君の配当、少し減らそうか」

「なら、その分 速達をください」

「無茶言わないの」

「だったら!!
 仕事の邪魔、しないでくださいっっ!
 こっちは配達だけしてるわけじゃないんだから、無駄に時間を費やしてる暇なんてないの!!」

「‥‥‥え」

館長の丸い瞳と僅かに漏れた反語。
激昂していた私は、それらに気付かなかった。
加えて、自分が自爆路線を踏んでいたことにも。


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