HAVE A BREAK☆
可愛いハンカチを一枚持って、十八刻半にリリィの家に集合‥
それが、今回リリィから出された指示の内容。
『‥遅刻したら今後一切レッスンしてあげないからね。
今回は後が詰まってるんだから、絶っっ対に時間厳守よ。いいわね?
それと、ほんのちょっぴりだけ お洒落 してくること。
ん〜‥そうね。清潔な可愛いブラウスと、膝丈くらいのふんわりしたスカートがいいわね。
それくらいは持ってるでしょ?
‥制服やパンツなんかで現れようものなら、即刻 叩っ返すからねっ』
‥相変わらず、一方的なお題 だ。
「まぁ‥リリィがそういうんだから、従って間違いはないよね」
とーぜんでしょ!なんて、彼女の声が頭に響いた気がした。
「それにしても、可愛いハンカチ なんて何に使うのかなぁ。
お洒落してこいって言うし。
‥まさか、ゴーシュの目の前でハンカチ落とす練習とか!?
‥‥んなわけないか」
独り突っ込みをしながら、夜想道を歩く。
街道沿いのお店に看板一体型の時計があるのが目に入り、ふと見上げる。
六を指す短針に会いに行くかのように、直角を成していた長針がカタン‥と動く。
今の、私みたいだと思った。
‥約束の時間まで、あと少し。
もうすぐリリィの家に着く。
「‥‥急がなくっちゃ」
私は徐々に、無機質な質感を伝える敷石を踏み鳴らす速度を早めていった。