「ジギー‥っ!」

久しぶりに見る、愛しい人の顔。
ゴーシュさんと話の途中だったにも関わらず、彼の元へ駆け寄ろうとした。


「帰ってきて‥っ‥
 ‥‥‥‥!?」


駆け寄ろうとして、彼の隣を見て足が止まった。

「‥‥‥リーシャ」

今さっき、泣きながらこの場から 逃げていった はずの娘が、ジギーに手を引かれて歩いてくる。
‥ジギーが ここにいる ってことは、速達から帰ってきたばかりのはず。
まだ帰還報告すら終えていないのでは‥‥?
その彼が、なんでリーシャと一緒に居−‥

「話があるんだろう」


ジギーの静かな声に、思考が途切れた。
よくよく見れば、先程までジギーの一歩後ろにいたはずのリーシャが、私と数歩を分かつほどの前までに引っ張り出されている。

「‥‥‥」

‥そして 無言で、突っ立っている。

「‥‥‥。
 私たちの前から、今のついさっき逃げ出しておいて」


 何 し に 、来 た


「‥今度は お連れさま まで従えて、何の用よ」

こんなにも不機嫌を決め込むのは何年ぶりだろうか‥
私の声を聞いて、ゴーシュさんが呆気にとられているのが解る。
目の前には、そんな私を見て顔色一つ変えないでいるジギーと、彼とは対照的に顔面蒼白のまま かたかた と震えるリーシャがいた。


「‥何で?」


意を決したように、リーシャが話し出す。

「ねえ、何でリリィがゴーシュと一緒に出かけてるの?」


喚くように切り出した言葉は、私が彼女に期待していたものとは 全く違うもの だった。
そして‥‥
その 馬鹿げた質問 に引き続いて投げられた言葉が、私の中の隠された導火線に火をつけた。


「 よりにもよって、私には内緒で! 」


−‥ 自 分 か ら 確 か め も し な い で お い て ‥ ‥−



 よ り に も よ っ て ‥ ‥ ?



 私 に は 内 緒 で ‥ ‥ ‥ ?



それ を‥
それを、言う為だけに、

ジギーを要員に引き立てて お 膳 立 て させて‥‥?



「‥‥‥‥‥」


少しでも−‥

少しでも、彼女に 期待 した私が


 馬 鹿 だ っ た


「‥‥っ‥」

きっ と睨み付けて、目の前の娘との数歩の距離を埋めていく。


「ジギーまで巻き込んで‥‥っ

  あんたって娘は‥っ!  」


  −−‥パシン!!


殴られるなどとは予想だにしていなかったのか、目の前の 女 がよろめいて倒れそうになる。
それを、無表情のままのジギーが受け止めていた。

「‥リーシャ」

名前を呼べば、女は 支柱 にしがみつく。
「あんた、自分の事を 何さま だと思ってるの?」


こういう時までも、あんたは自分の足で地に立とうとはしない。


「ふざけるのも大概にしなさいよ。
 ‥‥自分がした事を、よく考える事ね」

それだけ言い捨てると、彼らに背を向ける。

「‥!」

すれ違い様に見えた、もう一人の男の顔。
驚いていようが戦いていようが、そんなこと構いやしない。
‥‥腹が立つ。
こんな場所に、もう一秒足りとも居たくなかった。

「‥ジギー・ペッパー!
 リーシャの事を頼みます‥!」

駆け出すと同時に、そんな言葉が聞こえたような気がした。

*****☆*****☆*****

相方ヒロイン登場から、張っ倒すまで。
相方Sideでは、厳しい指摘〜気持ち、ぶつける までにあたります。
ヒロイン 超怖っ!!(爆)
最後の方なんか 相方ヒロインの名前 出してきてないし!w
相当ご立腹です‥w

次号は、激怒したヒロインとゴーシュのお話になります。

Sun.20.Feb.2011
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